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かすかに上向きはした。しかし、深刻な事態であることに変わりはない。
今春卒業した高校生、大学生などの就職率が発表された。高卒者の就職希望者のうち就職したのは86・7%で、過去最低だった昨年を0・4ポイント上回った。大卒者は92・8%で、これも昨年を超えた。
だが、高卒者の約三万二千人が仕事に就けなかった。職を得た人も、卒業間近にようやく採用されたケースが多い。厳しい雇用状況に、就職希望の届け出すらあきらめた高校生もいる。大学生の場合も、就職希望は減少傾向にある。
仕事に出合う機会が若者から失われることは、本人にも社会にも、取り返しのつかない損失を招きかねない。若者を仕事に就かせるために、社会全体で対策に取り組む必要がある。
日本では中高年の失業に焦点が当てられる一方、若年失業者の増加に、社会の関心の程度はそれほどでもなかった。
アルバイトなどで収入を得るフリーターが増え、収入がないまま親に頼る若者もいて、問題は顕在化しにくかった。就職しても短期間で退職する若者も多く、「好きで仕事に就かないでいる」と突き放した見方すらあった。
だが、九〇年代以降、新卒者を中心とした若者の失業率が急増している。二十四歳以下の六人に一人は実質的な失業状態にあるとする推計もある。
若年層の失業増加の要因は、長引く不況で企業が業績を上げられず、雇用を増やせないことにある。
仕事に就かないでいては、若者は職業能力を身につけにくい。企業も、若年層を雇用し育てないでは、活力を失う。
約二百万人と推定されるフリーターのうち、約65%が定職に就くことを望んでいる。フリーターを「自分探し」として是認する風潮は薄らぎつつある。
だが一方で、仕事を求める若年失業者の多くは、自分の技術や技能が求人要件に満たないことを痛感している。
若者の意識改革と、若年失業者に対する支援策が共に求められる。
支援の一環として、中学や高校のうちから、自分が進むべき道を生徒に考えさせる教育が欠かせない。職業教育と職業紹介を共に行う、若年者支援センターの設置なども検討されてよい。
昨年十一月、文部科学省に進路教育を考える研究会議が発足した。先月には、経済産業省など四省府による若年失業者の支援方策に関する検討会もできた。
遅きに失した感はあるが、若者と社会の将来にかかわる問題だ。禍根を残さないよう、知恵を絞らねばならない。
(2003/5/9/22:43 読売新聞 無断転載禁止)