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5月6日のFOMCでは、政策金利を据え置くと同時に、政策運営方針については、景気下降リスクを重視する「景気配慮型」に変更された。こうした背景には、鉱工業生産や雇用が悪化していることがある。だが、BNPパリバ証券会社・経済調査部チーフ・エコノミストの河野龍太郎さん(Ryutaro Kono/Chief Economist, BNP Paribas Securities(Japan) Ltd.)は、「それ以上にFOMCで強調されたのは、『すでにインフレ率は低水準にあるため、ここから低下することは好ましくないが、今後2-3四半期は、低下する確率がわずかながら上昇する確率を上回っている』点である」と語る。景気そのものについては、「同期間において、持続的な成長を達成する上昇リスクと下降リスクは概ね同等」とされていた。
<ゼロインフレ、デフレ同様に大きな害悪招く> 通常であれば、経済が潜在成長率を下回る成長となれば、デフレギャップが拡大し、インフレ率に低下圧力が加わる。反対に潜在成長率を上回る成長となればこの逆のことが起こる。このため、景気に対してニュートラルな評価が下されれば、物価についてもニュートラルな評価が下される。今回のように成長率見通しと物価見通しに対して異なるリスク評価が下されるのは矛盾しているようにも見える。だが、このようなリスク評価となったのは、「これ以上の低下が大きな問題となる水準までインフレ率が低下しているためである」と言う。もちろん、インフレ動向は成長率の動向に遅行するので、過去2四半期の成長率が潜在成長率を下回り、需給ギャップが拡大していたことが、今後2-3四半期におけるインフレ率の低下につながることも、今回のリスク評価に影響している。日本では、デフレばかりが問題視されるが、「たとえデフレに陥らなくても、相対価格の調整を阻害するため、 ゼロインフレもデフレ同様に大きな害悪をもたらすという認識が一般的である」
<グリーンスパンFRB議長も、ゼロインフレへの懸念を表明> グリーンスパンFRB議長は4月30日の議会証言においても、「インフレはすでに低い水準にあるが、これ以上のディスインフレの広がりは好ましくない展開であり、特に企業収益や投資回復を妨げるほどになるのを懸念している」とし、ゼロインフレへの懸念を表明している。究極的にはデフレへの懸念もあるだろうが、「ゼロインフレへの懸念も強い」のである。
<オーバーナイト1%割込めば、非正統的金融政策を実施へ> ところで、仮にもう一度、FRBが金融緩和を行うとどのような事態が生じるか (同社のメインシナリオでは、FRB同様で年後半は回復に向かう。この結果、追加緩和の可能性もそれほど高くないというものである)。FRBが現在1.25%のオーバーナイト金利を0.75%まで引下げると、「マーケットでは次の金融緩和は長期国債の大量購入など、いわゆる非正統的な金融政策を実施するという思惑が広がる可能性が高い」と見る。実際に、行うかどうかは別にして、「オーバーナイトが1%を割り込むことになれば、日本の失敗の教訓から、さらなるオーバーナイトの引き下げを回避し、いわゆる非正統的な金融政策を実施する可能性がある」と言う。オーバーナイト金利がゼロになれば、貨幣数量方程式における物価とマネーの関係は遮断され、伝統的な金融政策は機能しなくなる。
<最悪の場合でも、米経済はデフレを回避できる> 最悪の場合でもFRBは非正統的な金融政策を行うため、「米経済はデフレを回避することができる」と見ている。しかし、FRBが非正統的な金融政策を行えば、「それは外為市場において大幅なドル安を引き起こす可能性がある」。つまり、今後、FRBの金融緩和観測が高まれば、これまで以上に非正統的な金融政策への思惑が広がることになるが、それはドルの下落を引き起こす要因になる。その時、日本政府の課題は 「円高阻止」であって、円安政策(=「円安再生」?)どころではなくなる。