現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産24 > 438.html ★阿修羅♪ |
|
http://www.kobe-np.co.jp/rensai/kakeru/06.html
世界のトップ10へ
高度成長とともに拡大路線を突き進んだ日本の流通業が、かつてない苦境に立たされている。根深い消費不況、相次ぐ破たん、ウォルマートやカルフールなど大手外資の参入…。展望が見いだしにくい現代にあって、世界小売業でベストテン入りを目指す経営者がいる。イオン社長の岡田元也さん。勝算はどこにあるのか。率直な胸の内を聞いた。(松井 元)
お客様は市民。地域の支持なくしてグローバル化はない。
そごう、マイカル、ダイエー…。日本の流通業界が厳しい状況に陥っている。
「バブルのとき、本業と異なる事業に手を出し、おかしくなってしまった。言いにくいことだが、公私混同など経営の在り方にも問題があったのではないか。マイカルの支援を決めたとき、会社更生法にこだわったのは、経営の透明性を高めたいと考えたからです。われわれは一九八〇年代後半、大店法がまだ厳しいときから、自由競争になったらどうするかというビジョンを練っていた。だから、時代の変化にすばやく対応できたのでしょう。僥倖(ぎょうこう)ですね。立ち止まってはいられない。企業を成長させ、価値を高めることを追求できないなら社長になるべきではないと腹をくくっています」
ここへきて外資の動きが気になる。
「欧米ではここ数年、急速に流通業の統合・再編が進んだ。P&Gやネスレなど巨大メーカーに対し、交渉力を持つためです。そうして流通大手が巨大化すると、今度はメーカーが統合する。日本だけが、取り残されたように小売りもメーカーも小規模なまま。そこへ断トツで世界一のウォルマートが西友を使い用心深く入ってきた。本領発揮にはまだ五―十年はかかると思うが、巨大外資に対抗するため、国内流通業は提携や統合を進めざるを得ないだろう」
し烈化する世界競争の渦にあって、日本のイオンはどう生き残るのか。
「二〇一〇年ごろには、総合小売業は世界で十社くらいしか残らないでしょう。だから、世界で十位以内を目指す。今は二十位以内くらいですが、上位と比べると、IT化、自社ブランド政策などの格差にがくぜんとしますよ。だから、変えるものはすべて変えようと、すったもんだし、一部ですごい数字が上がってきた。商品の調達から分配、販売までを合理化して利益を出すのが世界の流れですが、うちもIT化でこのプロセスを一元管理できた。無駄をいち早く見つけ、自動的に解決する仕組み。そうして“見えない部分”を固める一方、成長市場の中国へも積極的に出ている。アジアは地理的に近く、欧米勢が入るよりも有利なんです」
巨大化、国際化する中で、地域と本当に調和できるのだろうか。
「お客さまは消費者であり、市民なのです。商品を買っていただくことも大切ですが、『この店なら自分の街に受け入れてもいいぞ』と思ってもらわないといけない。だから地道に店の敷地内に植樹しているのです。今問題の食の安全でも同じですよ。市民の目線で情報開示しないと絶対安心してもらえない。いくらグローバル化しても、小売業は地域の人たちに支持されなければやっていけないのですから」
おかだ・もとや ジャスコ(現イオン)設立時の社長岡田卓也氏の長男。三重県生まれ。早大商学部卒。1979年入社。97年6月から現職。福沢諭吉の「文明論之概略」が愛読書。「旧慣に惑溺(わくでき)する」という文言で自戒する。「世の中の真理と思っていたことが、単なる慣習ということがよくある」