現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産24 > 409.html ★阿修羅♪ |
|
イラク戦を聞く・国際開発センターの畑中氏 長期化なら秋ごろ悪影響 [Quick]
【NQN】イラクで地上戦が始まってから約1週間が過ぎたが、米英軍
の進攻は足踏み状態となり、イラク戦争の長期化懸念が強まっている。
中東情勢に詳しい財団法人・国際開発センターの畑中美樹エネルギー・
環境室長に戦況の行方やイラク戦争が日本経済に与える影響、戦後のイ
ラク政権の行方などを聞いた。(聞き手は山村有里)
――イラク戦争はどの程度長期化するとみているか。
「米英軍は戦力的には優位だが、砂嵐などの影響で進攻が遅れているう
え、首都バグダッドでの市街戦は米英兵に死傷者が続出したりイラク国
民が巻き添えになる『政治的な』リスクもある。米英首脳は3カ月以上
の長期戦まで覚悟し始めたようだが、長期化すれば世界的な反戦機運の
高まりを利用してイラクが政治交渉に出る可能性も捨て切れない」
――戦争が長引くと、日本経済にはどのような影響を与えるか。
「原油価格が1バレル=30ドルを超える水準での推移が半年続くと、
その1年後に世界経済でみた国内総生産(GDP)を0.4%程度押し
下げるという経験則がある。戦争の長期化懸念で再び高騰すれば、
今秋ごろから日本経済にも影を落とし始めそうだ」
――フセイン政権転覆後のイラク情勢をどう読むか。
「イラク国内の治安が安定するまでは米国軍が統治し、その後国内外の
イラク人有識者を集めて暫定政府を確立、国民選挙で国の最高指導者を
選出するというのが米政府の筋書きだ。暫定政府は上層部を追放した後
の旧フセイン政権下の役人も含めるが、政権の中心は米国などに在留経
験のあるイラク人と考えているようだ。ただ、米政府が連れてくるイラ
ク有識者が米国の考え方を完全に受け入れるとも考えづらく、時間が経
つにつれて思想の違いも明白になってくるとみている」
――米英軍が勝利した場合、イラク国民の反応は。
「イラク国民はフセイン政権を支持しているようにみえるが、絶対服従
を強要する同政権を嫌う者も多い。政権崩壊は総じて歓迎されるだろう
。ただ、外国人による支配には抵抗も強く、イラク人有識者がどれだけ
国民を結束できるかが民主化進行のカギを握る」
――イラク国民は民主化への抵抗はないのか。
「イラクは『アラブ社会主義』と銘打っているが、政権支持をもくろむ
政府が一部食料・サービス品の価格を意図的に安くしているだけで、も
ともと完全な社会主義国家ではない。株式会社も存在するし、国連の枠
組み内で原油の輸出を手掛けて冨を稼ぐ『ニューリッチ』も増えている
ため、民主化への抵抗は少ないだろう」
――復興需要の規模は。
「イラクの国内総生産(GDP)に相当する年間250億ドル程度になり、
復興事業には10年を要するとみられている。最近では石油コンサルティ
ング会社、米ペトロリウム・ファイナンスも同様の試算をしており、妥
当な数字だと考えている」
――復興需要で恩恵を受ける日本企業はあるだろうか。
「わからない。戦後は国内情勢の混乱も想定されるため、外資の参入を
規制する可能性がある点には注意が必要だ。むしろ、復興需要期待でい
ま恩恵を受けているのはバグダッド証券取引所で取引される株式を売買
する投資家かもしれない。爆撃対象からはずれているうえ、戦後の観光
産業の需要拡大期待などでホテル株が急騰したほか、復興事業をにらん
で土地も高騰していると聞いている。ただ、イラク人の富裕層が投機目
的で市場に参加しているだけで、それほど取引が活発というわけでもな
い」
――戦後のイラク経済が世界にもたらす影響は。
「イラクは主幹産業である石油の輸出増加により経済復興を試みるだろ
う。イラクはOPEC(石油輸出国機構)加盟国だが、生産調整に協力
しない可能性も高い。イラクは戦後、『国連制裁下』という特例を除外
されるだろうが、戦争による経済への打撃などを理由に生産協調をしな
い意向を示す公算があるからだ。もともとOPECが原油価格を支配す
ることをよく思っていない米国がイラクにOPECからの脱退を促すこ
とも想定される。OPECの歩調が乱れれば、イラクの生産量が伸びた
分、世界供給量が増加することも考えられる。原油の供給が恒常的に増
えれば日本など先進国経済にはプラスに働きそうだ」