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マクドナルド失速の波紋――日経金融新聞スクランブル
27日の日経平均株価は小幅続伸。イラク戦争の行方を見極めたいとして、売り買いともに手控え気分が強まった。1日の値幅は16年ぶりの低水準で、わずか58円にとどまった。
59円といえばマクドナルド・ハンバーガーの値段。きょう28日に開く日本マクドナルドホールディングスの株主総会で、藤田田会長兼最高経営責任者(CEO)が退任する。
同氏への株式市場の評判は散々だ。株価は下げ足をたどり、個人投資家からは「株主軽視も甚だしい」との声が漏れる。一代で売上高4000億円の外食最大手を築いたカリスマ経営者が、今になって不評を買うのはなぜか。
「株主最優先の新しい経営を実践する」。2001年7月の上場会見で藤田氏はこう言ってのけた。だが、その後の経営展開をみると「有言不実行」で期待を裏切ったことは否めない。
たとえば携帯電話を使った通販サービス「エブリデイ・マック」。「いずれハンバーガーを超えるビジネスになり、株価も上がる」と昨年立ち上げたが、現実は甘くなかった。試験サービスで会員になったのは約1万人、実際に商品を購入したのはたった数十人だった。
本業でも場当たり的な対応が目立った。「デフレは収束に向かう」として平日半額セールを打ち切ったのが昨年2月。それから商品価格をたびたび変更し、59円バーガーを導入するなど混乱を招いた。既存店売上高は今年2月まで17カ月連続で前年割れとなり、前12月期は最終赤字を余儀なくされた。
決定的だったのは昨年2月に上限100億円の自社株買いを表明したことだったかもしれない。増資からあまり時間を経ていなかったため「やっていることがちぐはぐ」(国内証券アナリスト)と批判する声が広がった。公募で調達した500億円以上の資金は、いまも有効利用できていないのが実情だ。
上場により、藤田一族は多額の創業者利益を得た。東京商工リサーチの調べによると、藤田氏と息子2人の保有株売り出しを通じて、ファミリー企業の藤田商店は599億円の所得を申告している。一方、上場前の公募時からマクドナルドの時価総額は3300億円減少。昨年12月末時点の個人株主は16万8000人にのぼるが、その多くは損失を抱えている。
同社は上場前にナスダック・ジャパン(当時)とジャスダックが誘致合戦を繰り広げたといういわくがある。それだけに、人気銘柄マクドナルドが失速した波紋は新興市場全体に広がっている。
27日には東京コムウェル(東京・豊島)がジャスダックへの上場計画を取りやめると発表した。2月以降に公募・売り出し価格が決まった27社のうち、7社は仮条件の下限となった。昨年11月―今年1月に29社中わずか1社だったのと様変わりだ。イラク戦争が重しになっているにせよ、新興市場への投資家の期待値が低下していることをうかがわせる。
「無責任経営が後を絶たない」(銀行系運用会社)という声も改めて強まってきた。有望銘柄と言われたセラーテムが最近、業績悪化を発表。その2カ月前に社長が保有株を手放していた事実が明らかになり、同社株に失望売りが殺到した。UFJつばさ証券の原英嗣シニアアナリストは「株式公開をゴールと考えている経営者はいまも多い」と株主軽視に苦言を呈す。
2003年度も4月1日の太陽生命保険を皮切りに、今年度(124社)を上回る130―150社程度が新規上場する見通し。「大公開時代」はこれからも続く。「市場から信頼されない経営者は失格」(さわかみ投信の沢上篤人社長)と言うように、投資家は経営者の力量を厳しく値踏みしようとしている。(阿部哲也)