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年資基金2003年度に日本株1兆7000億円購入、今年度は未達か [Quick]
【NQN】公的年金(厚生年金と国民年金)の2003年度の日本株購入は
1兆7000億円――。株式市場で「公的資金の買い」の主体である年金資
金運用基金(年資基金)が来年度に振り向ける新規資金の配分が26日、
明らかになった。新規資金は、財政投融資として預けていた資金の返還
分などを指し、年資基金が1年間に買う株式の額とは必ずしも一致しな
い。厚生労働省の発表資料や専門家の見方などを基に、年資基金による
来年度の株式購入を探った。(鍋井弘士)
厚労省は26日、新規流入資産とは別に、年資基金の運用の基本方針を
公表した。運用方針によると、2008年度(2009年3月末)までに運用資
産(150兆円)の12%にあたる18兆円を日本株で運用する予定だ。一気
に運用資産の内容を変えると、安定的な運用を目指す年金運用の趣旨に
外れるとの立場から、2008年度までの期間は段階的に運用資産の配分を
見直す予定だ。年資基金は年度ごとの資産配分方針を公表している。
例えば、2002年度の運用資産配分の日本株比率は5%。運用資産額は
162兆円なので計算上、2003年3月末時点で8兆1000億円の日本株資産
を持つ必要がある。一方、2003年度は日本株比率を6%と、今年度比1
ポイント増やすことを目指す。来年度の運用資産額は159兆円と同3
兆円減る見込みなので、2004年3月末時点では9兆5400億円の日本株
資産を持つ計算だ。
ここでひとつ、疑問が生じる。資産ベースで計算すると、2003年度に
買い増すことができる日本株資産は1兆4400億円に過ぎない。来年度の
購入予定(1兆7000億円)は多すぎる。
疑問を解く鍵は「株式相場の低迷」だ。年資基金は2002年12月末現在
、日本株を7兆2078億円しか持っていない。相場下落で日本株の資産が
目減りしたからだ。3月末の「目標額」に8900億円程度足りない。
年資基金が今年、どの程度日本株を買ったかは証明できない。ただ、
「週間で400億―500億円、公的資金らしき買いが入っていた」(複数の
市場関係者)とすると、3カ月(12週)で日本株購入額はせいぜい6000
億円程度。約3000億円を来期に持ち越したとすれば、つじつまが合う。
26日の厚労省の発表で最大の注目点だったのは、年資基金の運用方針
を厚労相に答申する「運用の基本方針の変更案」だ。2003年度方針では
昨年度と比べ文章の変更は何もなかったが、今回「経済環境の急変等緊
急の事態が生じた場合には、必要な措置を講じるものとする」との一文
が加わった。年資基金は公的資金の主な買い手とされるだけに、市場の
一部には「株式相場が急落する事態になれば、臨機応変に株式を購入す
る」とった株価維持策(PKO)への期待感が出ていた。ただ過去の経
緯をひもとくと、全く逆に「相場が下がった場合、日本株をこれ以上買
わないための措置」との解釈も存在する。
「株価を左右するために年金資金を使うことには反対だ」「年金資金
を株式で運用していいのかどうかということだ」――。2002年9月に坂
口力厚労相が会見で語った内容だ。坂口厚労相が「年金運用については
、もう一度見直しを今年度中に行いたい」と話したことから考えても、
変更案の一文追加は厚労相の意向を反映したと読める。坂口厚労相が株
式運用に難色を示したのは、年金資金の運用が株式相場の低迷で巨額の
運用損失を計上したからにほかならない。
26日発表の年資基金の運用状況によると、2002年4―12月に2兆1530
億円の損失が発生していた。損失発生の主因は株式相場の低迷だ。壁谷
洋和・大和総研マーケットアナリストは「年資基金の資産配分方針が決
まっている以上、株価が下がれば下がるほど日本株資産をさらに積み増
す必要に迫られる」と語る。「経済環境の急変」で「必要な措置」とい
うのは、「株式相場がまだ下がりそうな環境だったら、資産配分方針に
縛られずに株式を買い増す必要はない、とも受け取れる」(壁谷氏)。
厚労省は26日の会見で、変更案で追加された一文に質問が及ぶと「ど
のような措置をどのような経路で決めるかはケース・バイ・ケース」と
語り、「運用の基本方針に従う限り、PKOになることはない」と話し
ていた。年金運用はそもそも、将来の給付に備えて安定的な運用を目指
すのが基本で、株式相場の下支えとして過大な期待を寄せること自体が
見当違いとも言える。