現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産24 > 365.html ★阿修羅♪ |
|
「今回の指針決定によって、問題銀行の国有化は、事実上不可能な状況になってしまったといえるだろう。言い換えれば、問題先送りということに他ならない。結局のところ、昨年10月に策定された『金融再生プログラム』は完全に骨抜きにされてしまったということだ」
金融庁幹部がまさに憤まんやるかたなし、といった面持ちでこう吐き捨てる。
このコメントに登場する“指針”とは、銀行に対する公的資金投入によって国が取得することとなった優先株を普通株に転換する上での基準のことを指す。改めて説明するまでもなく、優先株は株主総会等での議決権を保有していない。つまり国は、公的資金の投入を受けた銀行の事実上の大株主であるにもかかわらず、株主としてその経営にはコミットできない。
「もっとも、公的資金の投入を受けた銀行の経営が悪化した場合−具体的には公的資金の導入と引き換えに各銀行が策定した『経営健全化計画』が未達だった際には、優先株を普通株に転換する、という規定が設けられていたのです−」(金融庁幹部)
この規定が設けられたのは、平成11年6月。しかしこの規定には大きな抜け穴があったのが実情だ。
「つまり、総論となる規定は定められたのですが、各論−具体的にどのような基準にもとづいて転換が行われるのかについては意識的に策定されていなかったのです」(金融庁幹部)
そしてこうした、“矛盾”を突いてきたのが、竹中平蔵経財・金融担当相が全面的に主導する形で策定された「金融再生プログラム」(竹中プラン)で、その中に「−(転換の)運用ガイドラインを可及的速やかに整備する」という文言が盛り込まれたのである。
そしてこれを受けてこの竹中プランのスケジュール表ともいえる「作業工程表(アクションプログラム)」において、「年度内に整備する−」という方向性が示されたのだ。
こうした一連の流れを受ける形で、金融庁は年度末ギリギリになって“転換ルール”をまとめあげたのだ。
その“転換ルール”の骨子は、以下に示す4項目からなる。
(1)自己資本比率が著しく低下した場合
(2)2期連続で優先株が無配となった場合(ただし平成15年3月期から)
(3)2期連続で収益が大幅に悪化した場合(右に同じ)
(4)早期是正措置に基づいた経営改善が不十分
「結局のところ“転換ルール”とは名ばかりで、要は問題銀行に対して2年間の経営改善猶予期間を与えたにすぎないといえるでしょう。そして問題なのは、行政当局−つまり金融庁の裁量が色濃く出たルールであるということです。優先株の普通株への転換−つまり国有化は金融庁の胸一つということにほかなりません」(金融庁幹部)
こうした状況の中、金融関係者がひそかに注目するのは、公的資金の注入を受けたA銀行の存在だ。
「A銀行は、自己資本比率規制に関していえば、国内基準適用銀行です。つまり4%以上の自己資本比率を維持することが求められていますが、15年3月末でA銀行が4%割れの状況となるのは必至だとされているのです−」(メガバンク役員)
さて、竹中大臣あるいは金融庁がA銀行に対してどのような判断を下すのか、今後の展開はまさに必見といえるだろう。
2003/3/27