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★短観を読む(1)企業の景況感、横ばいか イラク情勢や株価低迷重し
【NQN】日銀は4月1日に3月調査の企業短期経済観測調査(短観)
を公表する。前回調査(昨年12月時点)では景況感の緩やかな改善が続
いたが、今回は前回と横ばいにとどまるとの予想が多い。イラク攻撃の
開始や株価低迷、米景気の先行き不透明感などが企業心理の重しになっ
ていることが明らかになりそうだ。
短観の予想や注目点などについて、牧野潤一・大和総研シニアエコノ
ミスト、櫨浩一・ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト、南武志・U
FJつばさ証券シニアエコノミストの3氏に聞いた。=(2)(3)(4)に続く
l DIのヒストリカルデータ
<大企業> <中小企業>
製造業 非製造業 製造業 非製造業
2003年3月(予) ▲10 ▲15 ▲36 ▲41
2002年12月 ▲9 ▲16 ▲33 ▲36
9月 ▲14 ▲13 ▲37 ▲38
6月 ▲18 ▲16 ▲41 ▲37
3月 ▲38 ▲22 ▲51 ▲42
2001年12月 ▲38 ▲22 ▲49 ▲39
9月 ▲33 ▲17 ▲47 ▲37
6月 ▲16 ▲13 ▲37 ▲31
3月 ▲5 ▲13 ▲27 ▲28
(調査年月、「良い」−「悪い」%、▲はマイナス)
l 短観を読む(2)イラク情勢で先行きは不安定・大和総研の牧野氏
【NQN】牧野潤一・大和総研シニアエコノミスト
《全国・業況判断DI》 《全国産業・設備投資》
前回 3月 6月(予) (前年度比、%)
大企業 製造業 ▲9 ▲8 ▲7 2002年度 2003年度
非製造業 ▲16 ▲18 ▲19 大企業 ▲7.5 ▲6.0
中小企業製造業 ▲33 ▲32 ▲31 中小企業▲3.1 ▲7.0
非製造業 ▲36 ▲38 ▲39
業況判断指数(DI)は全般に前回調査からほぼ横ばいになるとみて
いる。生産は底堅い状態が続いているうえ、24日に経済産業省が発表し
た第3次産業活動指数は5カ月ぶりにプラスとなるなど、DIが悪化す
る要因は現時点ではほとんどない。
回答期間が2月下旬から3月末までで、イラク情勢の織り込み方によ
って回答にばらつきが出そうだ。今回は3月下旬に始まった米英軍によ
るイラク攻撃が短期で終結するとの楽観論が多いと仮定し、株式相場の
上昇と原油価格の下落を見込んでDIは高めになると予想した。ただ、
中長期戦になった場合は株価の下落と原油価格の上昇が企業収益を圧迫
するため、先行きの景況感はイラク情勢次第と言える。
今回は売上高と経常利益の2003年度計画に注目している。3月調査時
点で決める売上高の年度当初の計画は高めに設定しておいて、その後は
徐々に下方修正する傾向にある。このため、これまで3月調査時点では
前年度比でマイナスになったことはない。5日に財務省が発表した2月
の景気予測調査で2003年度の売上高計画は全産業で前年度比0.5%増だ
ったため、日銀短観でも同0.7%程度のプラスになると予想する。仮に
マイナスになった場合は、市場心理の冷え込みにつながりそうだ。経常
利益計画も同13.5%増と2ケタ台のプラスを予想する。
設備投資額は2003年度計画で前年度比マイナス6―7%程度を見込ん
でいる。3月調査では低めに出る傾向があるため、この程度のマイナス
幅であれば最終的な実績値は前年度比で横ばいに戻す可能性がある。し
かしマイナス7%をさらに下回った場合は、企業の投資意欲が大幅に減
退していると判断できる。
l 短観を読む(3)生産堅調も消費低迷響く・ニッセイ基礎研の櫨氏
【NQN】櫨浩一・ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト
《全国・業況判断DI》 《全国産業・設備投資》
前回 3月 6月(予) (前年度比、%)
大企業 製造業 ▲9 ▲8 ▲13 2002年度 2003年度
非製造業 ▲16 ▲18 ▲23 大企業 ▲7.8 ▲6.1
中小企業製造業 ▲33 ▲33 ▲39 中小企業▲3.5 ▲12.4
非製造業 ▲36 ▲43 ▲48
大企業・製造業の業況判断DIは、ほぼ横ばいにとどまるだろう。14
日発表の1月の鉱工業生産指数(確報値)は前月比で2.0%の上昇と比
較的堅調だった。中国向けを中心とした輸出は思いのほか鈍化していな
い。為替相場が円安・ユーロ高になった影響で欧州向け輸出の採算性も
向上している。
一方、非製造業では個人消費の低迷が響き厳しい状況だ。所得の増加
が見込めないうえ、社会保険料の負担が増えるとの懸念もあり、消費が
増加するのは難しい。日本だけでなく米国経済にもデフレ懸念がある。
ミシガン大学調査の消費者態度指数の3月速報値は75.0と予想よりも悪
化しており、日本経済への悪影響も不安要因だ。
2003年度の大企業・全産業の経常利益計画は前年度比4.8%の増加を
予想している。企業は人件費などの経費削減で利益をねん出するとみら
れるが、株安により保有株式の評価損が発生しているため、楽観的な計
画にはならないだろう。雇用判断も悪化しそうだ。
先行きについては、米英によるイラク攻撃の影響で原油などエネルギ
―価格の上昇が製造業の収益に悪影響を及ぼすだろう。最終製品への価
格転嫁がうまく進むとは考えにくい。円高・ドル安の進行も企業収益に
とっては懸念材料だ。米国では経常収支と財政収支の「双子の赤字」が
拡大しており、日本政府の円安シナリオが国際的な理解を得ることは難
しい。
銀行の貸し渋りも懸念される。企業の資金需要は乏しいが、運転資金
などを借り換えるときに貸出金利が引き上げられ、企業の負担が重くな
ることも考えられる。設備投資は抑制が続くと予想しているが、すでに
低水準であるため、下落率は前年度よりも緩やかになるだろう。