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ブッシュは日本に国連同時脱退を迫る 週刊ポスト
<エディトリアル>http://www.weeklypost.com/jp/030404jp/edit/edit_1.html
ブッシュは日本に国連同時脱退を迫る
落合信彦(ジャーナリスト)
(1)フランスの平和主義の欺瞞
フランスを買いかぶりすぎるのもいい加減にした方がいい。長いスパンの言動を分析すれば、ご都合主義のフランスの化けの皮はすぐはがれる。そもそも、独裁者・フセインを増長させた犯人の一人がシラク、その人なのである。
1975年。当時、首相だったシラクは、石油の安定供給を狙ってイラクとコンタクト。イラクのナンバー2だったフセインを自宅にまで招いて歓待。フランスがイラクの原子炉建設を請け負うことを決めたのである。豊富な石油埋蔵量を誇るイラクになぜ、原子炉が必要なのか。核兵器に必要なプルトニウムを抽出したいからである(その原子炉がほぼ完成した81年、イスラエル空軍によって爆破された。もし、あのままの状態で原子炉が野放しにされていたら、90年8月にイラクがクウェートに侵攻した時、多国籍軍は手も足も出なかっただろう)。
そのシラクとフセインの蜜月ぶりが揶揄され、「ジャック・シラクはジャック・イラク」といわれていたほど。とても、平和主義者の行動とはいえない。
その後も、フランスは石油欲しさに、イラクにミラージュ戦闘機や対艦ミサイルなどの武器をせっせと売却した。ところが、相手はイラクである。代金は当然、払われることはなく、その総額は現在、約50億ドルにも達している。フセイン政権崩壊となるとこれが、焦げ付いてしまうわけである。
フランスの平和主義の背後には、こうした「理由」があるのも忘れてはならない。
さらに、フランスの小狡いところは、きれい事を並べながら、しっかりフセイン政権後への布石を打っている点。政権崩壊後の「受け皿」と目される亡命イラク人などに盛んに接触、すでに石油取引の契約を済ませているのだ。
(2)国連は「おしゃべりパーティ」
国連で無意味な「おしゃべりパーティ」を続けている間に、フセインや金正日などの独裁者は、テロや戦争の準備を悠々と進めているのである。コンゴ内戦やルワンダ内戦でも、さらに、現在のパレスチナ紛争でも国連が乗り出したが、ことごとく失敗。常に「トゥー・リトル、トゥー・レイト」、小規模で遅すぎるのである。たとえば、パレスチナ紛争では、占領地からのイスラエル軍撤退を求めた国連決議が出されているものの、まったく実効力はない。
これまで、イスラエル・パレスチナ双方のトップが会談してきた場所が、国連本部ではなく、ホワイトハウスやキャンプデービッドであったことを思い起こして欲しい。
かつて、中東を取材した際、イスラエルの高官はこう皮肉をいっていた。
「自分たちの安全は自分たちで守るしかない。UN(国連=UNITED NATIONS)? ありゃ、UNITED NOTHINGのことだろ」おまけに、イラク問題でアメリカとイギリスが強い態度に出ようとすれば、拒否権をもつ「エゴむき出しの大国」にはばまれる。完全に動脈硬化を起こしているのである。
(3)「新国連」設立をシミュレート
イラクへの「最後通告」は、同時に国連への「最後通告」でもあったのだ。
国と国との闘いなら、外交で防ぐことも可能かもしれない。だが、テロリストには通用しない。国連などという"話し合いの場"が、まったく無力なのはいうまでもない。
国連を見限ったアメリカでは、すでに、次のシナリオも描いている。リチャード・パール国防評議会議長など、ブッシュ政権を支えるネオコン(新保守派)人脈の間では、「国連脱退」というオプションすら検討されはじめているのである。
現在、国連の年間予算約26億ドル(2002〜2003年の通常予算額)のうち、約22%をアメリカが負担。アメリカ1国が抜けただけで、国連がマヒ状態に陥るのは確実だ。これに同20%を負担している日本が加わったらどうなるか。実際、アメリカのある共和党系のシンクタンクでは、日本を引き連れて国連を同時脱退した場合、「新国連」への加入国がどの程度になるかまでシミュレート、新しい世界機構のあり方を細部にまでわたって研究しているという。
仮に、日米にイギリスの賛同が得られるとすれば、「旧国連」との決着はたちどころにつくだろう。圧倒的な軍事力と財政力をバックに、「ならずもの国家」は決して許さないという姿勢を明確に打ち出す。
イラクへの武力攻撃に反対し続けてきた国々に、確固たる理念があるわけではない。雪崩を打ったように、「新国連」に駆け込んでくるのではなかろうか。
4)独裁者に時間の猶予を与えるな
「イラク戦争」の後に控えているのは、対北朝鮮オペレーション。極東の独裁者の掃討である。
北朝鮮問題を国連で解決しようとすれば、必ず、中国やロシアとの押し問答になることは目に見えている。イラクへの対応の再現である。「おしゃべりパーティ」を続け、独裁者・金正日に時間の猶予を与えるのが、どれだけ危険なことか。何よりもわれわれは、これまで煮え湯を飲まされ続けてきた経験に学ばねばならない。
昨年の「平壌宣言」で歩み寄ってきたかに見えた北朝鮮が、その後、どのような態度をとったか。
世界を見渡した時、対北朝鮮のオペレーションをアメリカ抜きでやることは到底不可能。これは、紛れもない現実である。国民の安全を考えれば、今、アメリカと共闘(イージス艦派遣を支援と称する者がいるが、これはあくまでわれわれの闘いである)することが日本の国益にかなう。