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【SUMITOMO GOLD NEWS】短期終結が至上命題の「IT戦」の始まりと楽観論に支配された市場【亀井幸一郎】
http://www.asyura.com/0304/hasan24/msg/269.html
投稿者 jimmy 日時 2003 年 3 月 24 日 11:13:18:

http://www.sumitomo-gold.com/cgi-bin/request/bn_disp.cgi?n=145&aid=o

イラク攻撃が始まった。

昨年9月の国連でのブッシュ演説以降、急速に動き始めた米英によるイラク攻撃およびフセイン政権打倒の流れは、ブッシュ政権内部での強硬派(いわゆる「ネオ・コン」、新保守派)と穏健派(国際協調派)のせめぎ合いと国連安全保障理事会・常任および非常任理事国間の駆け引きのなかで、紆余曲折を経ながらも結局は、米国の意思、つまりはその国益に判断基準を置いた決断に押し切られる形となった。

超大国米国を前にしては、国連の持つ意味合いが薄れてしまっていることを、世界中が今更ながらに認識させられた出来事といえる。9・11(セプテンバー・イレブン)後に始まる一連のブッシュ政権の動きが、ひとつの形になったという意味では象徴的な出来事でもある。


3月5日配信号にて、「正当防衛」あるいは「緊急避難(危機が迫っているときには、その回避のために例外的に法律を無視することが許される行為」という言葉には、「超法規的」という言葉がついてまわるとしたが、今回の国連安保理での米英サイドの修正案採決回避、実行の着手は、まさにそれに当たるということか。ただし、国際問題について国連を中心軸に多国間協議に重きを置くのか、「国益」を盾に単独行動主義に傾くのかという分かれ道で、結局は「力の勝負」に打開策が向かってしまったという点で、今回のイラク開戦は後で振り返ったときに新たな時代の始まりという意味で転換点ということになるのではないだろうか。

これも89年の「ベルリンの壁崩壊」後の世界経済と世界秩序の構造変化がもたらした「答え」のひとつだが、その構図の変化はいまも進行形であることへの認識が必要と思われる。21世紀の世界秩序は一般的には「多極化」とされるが、いま展開されようとしているのは、米国による一極集中の維持であり、「米国覇権の確立」ということなのかもしれない。


いずれにしても、国際世論という制止を振り切る形での開戦は、圧倒的な戦力格差もあいまって、この戦争を従来の戦争にはない特殊性を帯びたものにするのではないだろうか。それは単に戦いに勝利するだけではなく、勝ち方の“質”をも攻める側に求める戦争でもある。予想を上回る短期での終結、攻める側の兵員はいうに及ばず、とりわけイラク側の一般市民の人的被害を極力抑えながら、フセイン政権の打倒を目指すものとなる。またそうでなければ、遡ってこの戦いの正当性に関する議論すら再燃しかねないのである。


そのためには、この戦争はいわば“IT戦”の粋を集めたものになりそうだ。先のアフガン攻撃では、世界中が米軍兵器のハイテク化に驚かされたが、90年代の「IT革命」は同時に米軍装備のIT化をも意味していたわけだ。今回の戦いは、そのさらに進化した姿を世界に強く印象付けるものになりそうだ。「RMA(Revolution of Military Affairs、軍事革命))」という言葉の意味するものが、どの程度のものなのか、つまり米国の軍事力がいかに強大で頭抜けているのかを我々は見ることになりそうだ。

金融市場の反応は、ご存知のとおりである。米英軍圧倒的優勢を背景に、短期終結シナリオが幅をきかし、NY中心に株価は急騰、ドルも各国通貨に対し買い戻されている。とくにNY株式市場は、3月12日以降6連騰で値幅で741.39ドル、率にして約10%の上昇となっている。不透明要因を嫌う株式市場が、開戦という材料ではあれ方向性の明らかになった環境を好感しての反応である。その前提には、事前に大勢が決してしまっているといっても過言ではない勝敗の行方ではなく、“湾岸戦開戦後の価格展開”という経験則に後押しされた投資行動がある。

端的には、ヘッジファンドなどを中心とした空売りの買戻し、ショート・カバーを原動力とした上げである。その点からすると、ここからが“見所”つまりは正念場であろう。問題はこの上を誰がどこまで買うのかということである。業績の裏付けがなければ(業績回復の見通しが示せなければ)、派手な戻りも頭打ちとなる。 一方、ここまで価格上昇で注目されてきた原油市場のほうは、逆に12日以降急落状態となっている。一時はバレル(原油の取引単位で約159リットル)あたり40ドルに迫っていたものが、攻撃の方向が明らかになるとともに下げ、今朝方のNY市場では30ドル割れとなり、さらに開戦後は時間外取引で27ドル台まで売られている。これも湾岸戦争時と同じ展開である。


金市場は小動きに始終している。


これは既に取り上げてきたように前倒しで調整局面入りしていたことによる。つまり今起きていることを金市場は想定していたわけだ。その意味では、今の金市場が見ているのは、楽観論に支配されている市場の目が違(たが)える事態の発生である。思わぬイラク軍の抵抗やそれによる米軍の被害発生、短期終結見通しの崩れなどだが、そうした事態には敏感に反応しそうだ。逆にそうした折には株もドルも売られることになる。金価格は、一般には329ドルまで上げてきたテクニカル上(罫線上)のサポート・ラインである200日移動平均線に従った値動きとなりそうである。(3月20日記)

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