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政府は、戦争終了後のイラクに自衛隊を派遣するための「イラク復興支援法案」(仮称)の今国会での成立に向け、与党との調整を急ぐ方針だ。自衛隊の活用を人的貢献の柱に位置づけているためだが、戦争の終結の仕方や国連の関与など不透明な要素が多く、法案の作成作業は曲折が予想される。
◆新たな根拠法◆
「新法がなくとも出来る点はやっていく。必要があれば国会と相談する」
小泉首相は22日、復興支援法案の成立を待たずに復興支援を進める考えを記者団に強調した。
しかし、法案成立までは経済援助が中心になり、「景気が低迷する中で、カネはなるべく出したくない」というのが政府の本音だ。
一方で、自衛隊の活用には新法がなければ対応が困難だ。これは、〈1〉テロ掃討作戦の後方支援を目的としたテロ対策特別措置法を拡大解釈するのは無理がある〈2〉国連平和維持活動(PKO)協力法も、紛争当事者の停戦合意など自衛隊派遣の「PKO参加5原則」を満たさない可能性が大きい――ためだ。積極的に復興支援にかかわるなら、米軍などイラク駐留軍を支援する新たな根拠法が必要というわけだ。
法案が成立した場合、政府は〈1〉駐留軍への物資輸送や補給〈2〉イラク国内の空港、道路などのインフラ整備〈3〉化学兵器など大量破壊兵器の処理〈4〉難民への物資輸送や医療――などで自衛隊を活用したい考えだ。
◆法案成立の前提◆
政府は、復興支援法案の前提として、自衛隊の派遣根拠となる新たな国連安全保障理事会決議が必要との立場だ。過去の自衛隊の海外派遣が、いずれも国連決議や国際機関の要請を根拠にしているためだ。
政府がイラク戦争支持の根拠に挙げた安保理決議1441など3つの決議での対応も可能だが、この場合は、野党はもちろん与党からも「根拠が希薄」と批判を浴びるのは避けられない。このため、政府は、イラク復興に世界各国が協力することを盛り込む「復興協力」決議の実現を安保理に働きかける考えだ。
しかし、復興決議を巡っては、米英が戦後も駐留軍としてイラクにとどまることを容認する決議を求めると見られるのに対し、フランスのシラク大統領が国連決議によるイラク戦後統治を拒否するなど、簡単に決議が採択できるような情勢にない。米国内には、フランスなどへの反発から「そもそも決議など必要ない」という声さえ出ている。
外務省幹部は「戦争の終わり方がある程度見えてこないと、国連安保理も決議の議論にならない。しかし、決議の内容がはっきりしないと、法案の『法律の目的』部分が書けない」と頭を抱える。自民党の山崎幹事長も「国連決議がないから、新法は今の段階では作りようがない。まず国連決議を採択する努力をすべきだ」と、政府を督促している。
◆いつ国会提出?◆
政府は、イラク戦争が1か月以内の短期間で終結することを想定し、法案の内容について、4月中に与党の了承を得たうえで、国会に提出したい考えだ。
しかし、政府にとって国連決議と並んで頭が痛いのが、継続審議となっている有事関連3法案の審議との兼ね合いだ。新法案と有事法案は、川口外相や石破防衛長官ら関係閣僚が重なり、並行審議が困難と見られているためだ。
与党内では「戦争が早く終われば、有事法案の審議は後回しにして新法案を優先させる。戦争が長引けば有事法案が先になる」(自民党幹部)と、今後の戦況次第との見方が強い。
(2003/3/22/23:02 読売新聞 無断転載禁止)