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BNPパリバ証券会社・経済調査部チーフ・エコノミストの河野龍太郎さん(Ryutaro Kono/Chief Economist, BNP Paribas Securities(Japan) Ltd.)は、週内にも米英によるイラク攻撃が始まる見通しとなったことを踏まえ、今回の戦争が日本経済に及ぼす影響について計量モデルを使ってシミュレーションを行っ。それぞれのシナリオに基づく見通しは次の通り(ほぼ原文通り)ーー。
<(1)短期終結:生起確率70%>
*米国03年GDP成長率+2.4%
*日本03年度GDP成長率+0.3%
戦争が1ヵ月程度の早期に終結すれば経済に与える影響は軽微に止まる。戦争終結は、01年9月11日から始まった米国の戦時モード終焉を意味する。さらなるテロとの戦いを指摘するむきもあるが、ホワイトハウスは04年の大統領選挙に向け、政策のプライオリティを経済政策に移すため、戦時ムード終焉を演出するはずである。先行きの不確実性の高まりが、企業の設備投資を抑制する最大の要因となっている ため、これが除去されれば03年第3Qから米景気は回復が始まる。同様に、先行きの不確実性が和らぎリスク資産に対する回避傾向が修正される形で、実体経済よりも一足先に、米株価が上昇に転じる可能性がある。 日本経済は、現在横這いを続けているが、外需主導で03年7−9月から緩やかな回復 が始まる見通し。もっとも、デフレが続く限り国内需要の本格回復は期待できない。
<(2)2〜3ヵ月で終結:生起確率20%>
*米国03年GDP成長率+1.4%成長(1.0%ポイント低下)
*日本03年度GDP成長率▲0.2%(0.5%ポイント低下)>
戦争長期化による原油価格の上昇を背景に米国の消費が抑制され、メインシナリオで想定される米経済の03年後半の回復がほとんど生じない。この場合、03年度の日本のGDP成長率は0.5%ポイント押し下げられ▲0.2%とマイナス成長となる。 米国向けを中心とした輸出減少が、日本の成長率に最も大きく影響する。@米国成長率の1%ポイントの低下がもたらす世界経済の減速の影響で、03年度の輸出は3.5%ポイント減少し輸出の伸びはほぼゼロになる。これだけでGDP成長率は0.4%ポイント押し下げられる。Aさらに、輸出減少が、企業業績を悪化させ、それが設備投資をさらに抑制するため、国内需要は0.2%ポイント成長率を減少させる。B一方、総需要の減少で、輸入は1.6%ポイント減少し、これはGDP成長率の0.1%ポイントに相当する。最終的にGDP成長率は0.5%ポイント押し下げられ る(@▲0.4%、A▲0.2%、B+0.1%)。
<(3)長期化3ヵ月以上:生起確率10%>
*米経済の成長率+0.0%(2.4%ポイント低下)
*米国の景気悪化が深刻になれば、FRBがデフレ回避のため非正統的な金融政策
に踏み切り、1ドル100円程度まで円高ドル安が進展。
*日本の03年度GDP成長率▲1.2%(1.5%ポイント低下)
戦争長期化で、03年の米経済がゼロ成長まで陥る。潜在成長率を大幅に下回れば、需給ギャップの拡大から米国でデフレリスクが高まる。FRBはゼロインフレやデフレの害悪を強く認識しており、躊躇なく非正統的な金融政策を踏み切る。この場合、FRBの非正統的な金融政策によって、米国経済は最終的にデフレを回避できるが、非正統的な金融政策は大幅な円高ドル安をもたらす。この結果、日本の輸出頼みの製造業の企業業績は、メインシナリオの+6.0%の増益から▲25%程度の減益になる見通し。同部門の業績の大幅な悪化は、設備投資の大幅な減少をもたらすため、日本の成長率は▲1.2%と大きく落込む。