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東京 3月19日(ブルームバーグ):日本銀行の速水優総裁は19日午後、退任の記者会見で、福井俊彦次期総裁が行った18日の国会答弁について「右でも左でも取れるような表現をしたのかもしれないが、その点は私よりも大人だ。そんなに(私の考えと)違っているとは思わない」と述べた。
福井次期総裁が18日の衆院財務金融委員会で、銀行保有株買取枠の拡大、インフレ目標、指数連動型上場投資信託(ETF)購入について含みを持たせたことについてどう思うか、という質問に答えた。
速水総裁はこれに対して、「彼はがどう答えたのか聞いていない。皆さんもどう反応されたか、新聞によっても違う。彼はそういうところは私とは違って慎重だ」と述べた。
速水総裁はそのうえで、銀行保有株買取枠について「銀行券の引当になる資産が下がったり、銀行券を発行する中央銀行の資本準備金が減少すると大変なことになる。その辺を考えると(現行の)2兆円ぐらいがちょうどよいと思う。(日銀の実際の買い取りは)まだ(2兆円枠の)半分くらいだから、この時期になぜ増やさなければならないのか、むしろお聞きしたい」と語った。
無理に円安に誘導する必要ない
総裁の持論である円高容認が市場を混乱させたのではないか、という質問に対しては「円高が望ましいかどうか分からないが、これを無理に円安に誘導することは必要ないと思っている。日本の潜在力は強い。これだけ家計の金融資産を持っているところもないし、経常収支が1980年以降ずっと黒字で、国内総生産(GDP)比3%の経常黒字が続いている。対外債権超過が1兆3000億ドルで、外貨準備はむしろ増えている」と指摘。
そのうえで「そういうところで通貨はそんなに弱くならない。世界の市場は1日1兆数千億ドルの取引がある。そういうところで多少介入をしても元に戻ってしまう。その辺のところは皆さんの方が片寄った考えをしているのではないか。為替相場は市場が決めるものだ」と述べた。
総裁はまた「構造改革を進めながら物価を上げられないかとか、中央銀行はインフレを起こせるはずだというような議論もあった。私も、中央銀行が信認を失えば、いずれほぼ確実に制御不能なインフレが起こると思う。しかし、デフレ克服とはそうしたインフレを起こすことではない。政策当局がいったん失った信認を都合よく取り戻すことができないのは、貴重な歴史の教訓だ」と言明した。
辞意表明「なかった」
退任するに当たっては「日本経済の再生が道半ばのまま本日の退任を迎えるに至ったことは、私としては大変残念だ。しかし、私は日本経済の将来についてはまったく悲観していない」と述べた。そのうえで「こういうときに退くのは大変申し訳ないが、後任者がしっかりしているので、うまくやってくれるだろうと思っている」と、後を継ぐ福井次期総裁に思いを託した。
2001年春に辞任報道が流れたことについて問われ、「辞めるとか辞めないとか、これは皆さんが騒いで書いたが、僕らは別にどうということはない」と語った。さらに、辞意を表明したのではないのか、と問われ、「私はなかった。福田康夫官房長官はよくご存知だ」と答えた。
5年間の任期を振り返り、「私は5年間、病気1つしなかった。無欠勤だ。自分なりよく頑張ったなと思った。やはり緊張感があったと思う。夜眠れないこともあったが、そういうものを乗り越えて、使命感が支えてくれた」と述べた。
海図なき航海の評価は後世に
総裁は自らの任期での功績の1つとして、政府短期証券(FB)の公募入札を挙げたうえで、「金融市場のグローバル化が進むなかで、他国に見劣りのしないインフラを整備する必要があった。この点で、私は就任後最初に指示したのは、政府短期証券の公募入札の実現だった」と振り返った。そのうえで「(就任から)1年近くかかったが、FBの公募入札が実現した。これは非常に大きな変革の第1歩だったと思っている」と述べた。
金融システム問題についても「邦銀の自己資本や不良債権の開示などに関する私の発言については、当初さまざまな反発もあった。しかし、私が示したような考え方は次第に世の中にも理解されていったのではないかと思っている」と語った。
さらに、「金融政策はその効果や副作用が出尽くすまで、長いタイムラグがあるものだ。この5年間、われわれが行ってきた金融政策の、いわば海図なき航海への評価は、後世にゆだねる他はないと思う」と語った。
東京 日高 正裕 Masahiro Hidaka