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米経済コラム:米自動車業界、2003年は「忘れてしまいたい年」に
サウスフィールド(米ミシガン州)3月17日(ブルームバーグ):戦争懸念、上昇するガソリン価格、悪化する消費者心理――。さまざまな問題を抱える米国の自動車業界にとって、2003年は忘れてしまいたい年になりそうだ。
2003年の米自動車販売台数は、1−2月が前年比4.7%減少。3月も回復の兆しはみられていない。独ダイムラー・クライスラーのエコノミスト、ジョリセイント氏は「不透明感によって企業は投資を手控えており、信頼感は低下している」と指摘。「信頼感の低下は、そのまま二番底への景気後退につながる可能性がある」と言う。
こうした逆境の矢面に立たされているのが業界大手のゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーターだ。アナリストの間には、最近の販売台数の減少を受け、両社はリストラ(事業の再構築)を加速する可能性があるとの見方がある。独立系の自動車業界アナリスト、ケラー氏は「両社の経営ミスは30 年前から続いている」との見方を示す。
米証券会社リーマン・ブラザーズの自動車業界アナリスト、キンボール氏は「問題は、長期的な競争力の有無ではない。問題が認識され始めたときに株価が受ける影響こそが本当の問題だ」と指摘。両社の競争力は2005年まで保たれるとしながらも、株価の見通しには「非常に弱気」だという。
ジョリセイント氏は、ことしの米自動車販売台数の見通しを1700万台から 1670万台に下方修正済み。ドイツ銀行も14日、従来予想の1650万台を1580万台に下方修正した。一部アナリストの間には1500万台半ばという予想もある。
割戻金に効果なし
昨年の販売台数は、割戻金やゼロ金利ローンを通じた販売促進を追い風に、ほぼ1700万台に達した。米自動車業界は、昨年の勢いがことしも続くことを期待していた。
戦争懸念や、ガソリン価格の上昇が意識され始めたのは昨年夏。自動車業界は当初、戦争は短期決着しエネルギー価格は下落に転じるとのシナリオを描いていたが、戦争をめぐる各国の調整が難航し、反対意見も台頭するなか、景気の不透明感はむしろ強まっていった。
さらに、1−3月期の販売鈍化は、割戻金の効果が薄れたことを浮き彫りにした。GMのワゴナー最高経営責任者(CEO)は2週間前、ジュネーブで開かれた自動車ショーで「ゼロ金利ローンや割戻金の効果が薄れたのは明らかだ」と指摘。「1月の販売実績には驚かなかったが、2月はやや期待外れだった」と語った。
フォードの減産
自動車コンサルティング会社JDパワー・アンド・アソシエーツは先週、3月初めの自動車販売は前年同期を0.5%下回るペースになっていると指摘。ことしの販売台数は3年連続で減少する可能性が高いとの見通しを示した。
GMはすでに4−6月期の米国内生産計画を11%下方修正している。米証券会社J.P.モルガン・セキュリティーズの自動車業界アナリスト、ブラッドリー氏は、需要の落ち込みと在庫水準をにらみ、GMは一層の減産をする必要があるとの考えを示した。同氏は「イラク問題の決着や米経済指標の底入れなどを見極めた後でなければ、前向きな見通しを立てることができない」と語る。
フォードは13日、4−6月期の米国内生産台数を昨年同期より17%減らす計画を明らかにするとともに、今後も計画を下方修正する可能性があることを示唆した。
トヨタにも痛手
米国市場でのシェアを拡大し続けているトヨタ自動車も、北米工場での減産を強いられている。自動車業界誌ウォーズ・オートモーティブ・リポーツによると、同社の上期の生産台数は前年比8.1%減の見込み。生産設備の更新に伴う工場閉鎖も減少の理由という。
予想されるイラクとの軍事紛争が早期に決着しない限り、自動車・同部品メーカーの業績見通しは今後も下方修正を余儀なくされる。その場合、最も痛手を受けるのは販売が米国内に集中している米国車メーカーだが、米国市場への依存度が高い外国車メーカーも決して無縁ではない。(ドロン・レビン)
(レビン氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
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