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遺伝子組み換え食品認可の裏側 (里見宏)
http://www.asyura.com/0304/gm6/msg/106.html
投稿者 RT 日時 2003 年 4 月 11 日 19:32:07:EMh8N9tGmMM3k

(回答先: Re: 懲りないモンサント、また新種のトウモロコシを開発 投稿者 RT 日時 2003 年 3 月 29 日 18:01:34)

. 遺伝子組み換え食品認可の裏側
. ---厚生省の審議資料から浮かんできた問題点---
. 里見 宏

 米国のモンサント社は虫が食べると死んでしまう蛋白質を作る菌の遺伝子をトウモロコシやジャガイモに組み込みました。トウモロコシやジャガイモはその蛋白質を作っています。そんなことは知らない虫がトウモロコシやジャガイモを食べると死んでしまいます。この組み換え作物の苗を買う農家は殺虫剤を撒かなくてすむのです。農家も農薬代がいらなくなるので収入が多くなるというのががセールスポイントです。モンサント社には莫大なお金が転がり込みます。しかし、消費者は「虫が食べると死ぬ蛋白質が入っているトウモロコシやジャガイモを食べて大丈夫なんだろうか」と心配になります。

 食べ物の安全性というのは我々の先祖が気の遠くなるような長い時間をかけて食べてみるという人体実験をしながら確認してきたものです。この遺伝子組み換え作物も本来はこうした気の遠くなるような時間をかけないとその安全性を確認することはできません。しかし、そんなことを言っていたらいつまでも商品化できませんから、日本政府は遺伝子を組み換える前の作物と組み換えた後の作物が同じならば「安全と見なす」という、いわゆる「実質的同等性」という評価指針をつくりました。これは大変安上がりな方法です。でも、組み換えた作物に違いあがあれば従来通り、慢性毒性、生殖試験、変異原性試験、発がん性試験など必要に応じた試験を行なうことになっています。

 でも、この基準がおかしいのは皆さんでもすぐ気がつかれるはずです。虫が死んでしまうトウモロコシが死なないトウモロコシと実質的同等であるわけがないからです。ですから、世界中でこの遺伝子組み換え作物に反対運動が起きています。日本でも消費者が反対運動をしています。でも、反対している人達も、国が審議した資料は誰も見たことがないというので資料を閲覧してみることにしました。厚生省に問い合せたところ閲覧には厳しいし制限がついていました。資料のコピーも写真もだめ。閲覧時間は月水金の決まった時間だけというのです。制限の理由は会社の財産だからコピーも写真もだめというわけです。国民より会社を大事にしているのです。さて、毎日閲覧に通うことになりました。
 日本モンサント社の「イールドガード・トウモロコシ」の審議資料を読みました。実質的同等性を証明する英文資料と日本語資料が提出されていました。日本語資料を読んでみると、遺伝子を組み換える前のトウモロコシ(MON818系統)と組み換えた後のトウモロコシ(MON810系統)の栄養成分が調べられていました。虫が死ぬ蛋白質を作っているのですから違いが出てもよいのですが、蛋白質の量は違っていないと書かれていました。また、蛋白質を作っているアミノ酸にも違いがなかったと書かれていました。このとき少し変だなともったのは分析の結果がグラフになっていたことです。こうした専門家が読む資料が数値でなくグラフというのはあまり例がないからです。そこで英文資料を読むことにしました。すると英文の提出資料には8種類のアミノ酸に統計的有意差があったと書いてあります(ヒスチジン、シスチン、トリプトファン、フェニルアラニン、アラニン、プロリン、セリン、チロシンが多かった)。統計的有意差があったということは組み換える前と後のトウモロコシが違うものになっていたということです。
 英文の報告書ではこの増えていた8種類のアミノ酸について、このうち6種類は世界中のトウモロコシを分析した文献値の幅に入っている、それよりまだ高い値だった2種類のアミノ酸(ヒスチジンとシスチン)はモンサント社の社員が分析した遺伝子組み換えトウモロコシと同じ背景を持つトウモロコシの分析値と同じであったと説明されていました。実質的同等性というのは遺伝子を組み換える前と後のトウモロコシが同じものであることを証明することです。ところが品種も収穫地も違うトウモロコシと比較したり、会社の中で行われた非公開のデータを使ったりとまったく非科学的な説明がされていたのです。しかも、日本文ではウソが書かれていたのです。こうなると科学以前の問題です。これではわざわざ作った評価指針は意味がありません。ウソまでついてこの遺伝子組み換えトウモロコシの安全性を認めさせようというのです。こんなウソの報告書を平気で出すモンサントという会社の食品は危なくてとても食べられません。
 世界中のトウモロコシを分析しても説明できないくらい多かったアミノ酸の問題にふれておきましょう。なぜなら遺伝子組み換え食品でアレルギーが増えるのではないかという指摘があるからです。
 この組み換えトウモロコシにはたくさんのヒスチジンというアミノ酸が含まれていることがわかっています。このヒスチジンというアミノ酸は酵素(ヒスチジン脱カルボキシル基酵素)によってヒスタミンという物質になります。ヒスタミンはアレルギーの症状を起こす物質として有名です。ヒスタミンを抑えるため抗ヒスタミン軟膏を塗るのでおわかりだと思います。同じようにトリプトファンというアミノ酸はセレトニンというケミカルメディエータの原料アミノ酸です。アレルギーと関係するアミノ酸が類のないくらい多いということが問題なのです。子どもには危険なトウモロコシとなります。
 トウモロコシを食べないといと頑張っても、組み換えトウモロコシは加工品として増量剤、安定化剤、キャンデー、アイスクリーム、ジャム、ソフトドリンク、コーン油、コーンフレーク、スナック菓子、ビール、コーン・グリッツなど広範に使われます。いろいろな経路で人間が食ることになります。家庭で注意すれば除けるというものではないのです。
 問題が多くあることがわかり市民団体がこの問題を厚生省に申し入れしました。その結果、厚生省はモンサント社に訂正文をださせました。食品衛生調査会では「もう一度審査をやり直す必要があるかどうかということのご意見を聞きたいと思います。黙っていらっしゃるということは、今後、そういうことに注意したら、これはやり直す必要はないというご意見だということで、審議自体については支障はないと、この委員会として考えますが、いかがでございましょうか。それでよろしゅうございますね」(審議会議事録より)と終わったのです。日本の消費者の安全なんか考えていない厚生省、そして食品衛生調査会のメンバーたちなのです。こうなったら遺伝子組み換え食品の市場からのボイコットです。モンサント社や遺伝子組み換え食品を作っている会社の製品ボイコットで対応する以外道はないようです。(詳細は健康情報研究センター発行の「ちいさい・おおきいニューズレター」20号に掲載されています。


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