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(回答先: たこさん(=小泉積極告発の法論理):この場合正犯者はだれですか? 投稿者 バームクーヘン 日時 2003 年 4 月 14 日 04:17:51)
件名の件、回答を忘れておりました。
小泉と川口の行為ですが、
1 反対者への説得工作を含む口頭による支持・助勢
2 犯行現場の後始末を約束
などに分析できるはずです(正犯者の行為は説明しません。国内法レベルで考えると、殺人、放火、建造物損壊etcです)。正犯者の犯意形成が先行しているとすれば、教唆犯は無理です。1は精神的幇助、2は実際の援助は正犯の犯行終了後に行われますが有形的な幇助です(逃走手段の用意などと同様)。なお、後始末の約束自体は、正犯の犯行前に行われていますから、いわゆる事後従犯ではありません。1では程度が問題になりますが、電話で賛同するだけでも処罰例はあります。2はほとんど自明でしょう。
詳論しませんが、一応は幇助犯に関する議論です。幇助犯は、一般には「正犯の実行を容易にする一切の行為」などといわれております。この素直な解釈からは、大谷説のように「正犯実行行為との間に物理的または心理的因果関係があれば」という結論になり、おそらくこれが実務に近いと思います。もちろん、純粋に理論的には、たとえば惹起説を徹底して、殺人罪のような結果犯で結果にまで因果関係を求めると、精神的幇助をほとんど否定するような結論もあり得ます(すでに犯意のある正犯者への精神的幇助は条件関係が否定される)。しかし、これは一般的でないでしょう。日本法の観点では、それほど問題なく肯定できると思います。より重要な問題は、告発状の犯罪事実項に慎重に事実を並べることです。
一方、Sara氏のご紹介記事ですが、戦争を違法とする法学者集団の声明文です。非常に説得力のある内容で違法行為に対する警告として有用です。しかし、現実の裁判所を想定していないようです。実際に処罰を問題にするときは、事物管轄(裁判権、jurisdiction、実際には構成要件の規定を兼ねる)を定める裁判所設置規程による例です。なお、国際司法裁判所は、現在のところ「侵略」の一般条項を置くだけで、その定義規定がありません。(もちろん、ブッシュ等は通常の戦争犯罪等でも処罰可能と思いますが、小泉を「陸戦法規等のジュネーブ条約違反の幇助」はちょっと無理と思います。)