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(回答先: 日銀の資産悪化を心配(経済に詳しい諸氏のレス希望) 投稿者 キャプテン 日時 2003 年 4 月 11 日 14:48:36)
キャプテンさん。 はじめまして。
私は「経済に詳しい方々」ではありません。
しかし、この手の問題には以前からとっても興味を持っていましたので、私見を述べさせていただきます。 もちろん鵜呑みにしない方が安全であることを付け加えておきます。
(日銀の財務内容の悪化は円貨の信用失墜に繋がるか)
ノー。 日本国内で、「外国で高く売れる商品」を生産できている限り、円の信用は落ちないと考えます。 日本は「産業力本位制」です。 ゴールドも石油も政治力もありません。 しかし、高く売れる輸出商品を生産できている限り、外貨と利潤とを獲得できます。
(株式購入について)
株価形成を歪めることになります。 これは、非効率な低付加価値の財、サービスしか提供できない会社にたいして資金を供給することになるので、長い目で見ると産業力低下につながります。 この結果として、円の価値低下をもたらす可能性があります。
(国債買い入れについて)
周知のごとく、リスク資産を大量に抱える行為です。
金利上昇時に多額の含み損を抱えるでしょう。 資産は劣化します。
しかし、それによって直接に円の価値が低下するとは思いません。
これと同時に、私は、こうした国債買い入れは円価値の大幅な低下を長い目で見てもたらすと信じています。
一見矛盾してますね。
私は、国債買い入れによる真の問題点は、民間の資金調達の困難性と国家信用による資金調達の容易性とが同時進行する点にあると考えています。
この結果、円価値の低下は、次の2つのルートで起こると考えています。
一つ目は、真に資金を必要とする民間の財、サービス供給者に資金が回りにくい資金循環構造を固定するという点です。
世間には、優秀な技術力、商品造成の意欲を持ちながら、このご時世で資金不足の会社がたくさんあります。
銀行には多額の金があります。 しかし、銀行はBIS規制に縛られているので、貸し出しに資金を回しません。 そして銀行は余った金で国債を買っています。 しかし、国債発行額は巨額なので、銀行等のみで消化するのは無理であり、無理に消化させようとすると国債価格が暴落します。 そこで日銀が国債を買い支えています。 銀行が損しないように。
これも、株式と同じように、「特定金融商品の価格下支え」に過ぎません。
こうした「国債サイクル」が回っているために、財やサービスを生み出そうとする供給者に金が回らない構造になっています。
この結果、長期的には、供給者の倒産等によって財やサービスの供給能力が低下します。 この状況下において、国債サイクルによってハイパワードマネーは潤沢に存在するわけですから、円価値は大きく下落すると思われます。
二つ目は、供給者の減少によって民間需要が低下する一方、国債は確実に引き受けられる(資金調達可能)という構造が存在する点です。
民間供給者の資金調達が困難な結果、民生市場が縮小すると、官需の増大を求める声が必然的に巻き起こります。
そして、国債の引き受け手が存在し、資金調達が確実であることから、官需が増大します。
この結果、財政赤字が急膨張します。 悪性インフレーションが始まります。
つまり、日銀の国債買い入れは、公共の資金調達を容易化して資金循環に歪みをもたらし、長い目でみて民間の財、サービスの供給力を萎縮させるという根本問題があります。
たとえ官需が盛り上がっても、そこから外国でも高く売れるような商品が造成されてくるとは考えられません。 官需というものは基本的に世間一般からずれているからです。
CPとか資産担保証券は、その額が巨額でない限りは問題ないと思います。 歪みの大きさは金額によって決定されると思うからです。
かりにCPや資産担保証券の購入額が国債なみになれば、もちろん国債サイクル以上の歪みと災厄とをもたらします。