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(回答先: アラブ妻さんへ:アメリカの戦争をやめさせる方法 投稿者 たけ(tk) 日時 2003 年 4 月 06 日 22:52:18)
たけ(tk)さん、こんにちわ。
まず、利権派産油国がそのような政策を打ち出せるのなら、これまでに対米政策は違ったものであったはずです。
ご提案の政策を実行に移すためには、米英との戦争を辞さずという構えが不可欠です。
イラクやイランは原油資源を実質的な意味で国有化していますが、サウジアラビア・クウェート・UAEなどは名目的な国有化で、実質的には石油メジャーが採掘と販売を行ない、首長支配政府が利益配分を受けているという構造です。
(イラクやイランは、ご存知のようにUNによる経済制裁か米国による経済制裁を受けており、原油取引に占めるシェアは低下しています)
原油の非ドル建て取引を“武器”に使うのなら、首長支配政府が受け取る利益配分をユーロなど非ドル通貨にするだけではなく、石油メジャーの決済方法まで規制する必要があります。そして、それを守らないなら契約を打ち切るという強硬策も必要です。
しかし、販売に関する決済通貨が契約条項に盛り込まれていることはないはずですから、産油国のそのような主張は、重大な契約違反として、“国益”保護という大義名分を掲げた戦争につながります。
(今回のような名目でイラク攻撃に踏み切れたのですから、“自由主義経済”や“契約”を脅かす動きを軍事力で圧殺することも踏み切れるはずです)
この問題は。日本が米国に財を輸出した代金決済を日本円で行なうよう求めたときに米国がどう反応するかを考えるとわかりやすいと思います。
日本製品を輸入する米国企業は、手持ち日本円が不足しているとき、日本円を借りて決済しなければなりません。国民経済としては、対日赤字である600億ドル(7兆億円ほど)を毎年借り入れしなければならないことを意味します。このような取引形態を米国が容認することはないでしょう。
米国経済が曲がりなりにも世界一として現在まで維持されてきた最大の要因は、ペーパーマネーであるドルが国際基軸通貨として維持されてきたことです。
米国は既に破産状態ですから、それで、アメリカが一発で破産するというわけではありませんが、国内よりも国外で流通している額のほうが多いドルは急激に減価し、国際基軸通貨として保持している特権も侵食されることになります。
(資産をドル建てで運用している富裕層は大打撃を受け、国際基軸通貨であるが故に還流していたドルが減少し、財政赤字や経常収支赤字のファイナンスが思うようにできなくなります)
これは、米国経済を根底から揺さぶることですから、米国政権は、「経済テロ」だと叫んで軍事力の行使を正当化するはずです。(米国国民の多数派も支持するでしょう)
原油国際取引の非ドル決済は米国を締め上げる効果がありますが、そうであるが故に激しい反撃を招く政策です。
今のところの対抗策は、クウェート・UAE・カタールなど米英の飼い犬が支配している産油国は国民が支配層を倒す過程を踏まないと無理ですが、サウジアラビア支配層なら、余剰通貨をドル建てで運用しない政策をとることや、政府レベルでは行なわないとしても民間レベルのイラク支援を黙認する(陰ながら積極支援)ことはできるでしょう。
現在のイラクの状況は、明日のサウジアラビアやイランだという認識がどこまできちんと持たれているか疑念を感じています。
「近代経済システム」を丸ごと導入していない(導入しない)イスラム基盤国家が、米英の糞垂れ強欲者の攻撃対象から外れることはないのです。
(これまでと同じように、米国のご機嫌を損なわなければいい嵐を避けられるというものではありません)
中東諸国がせめてシリア程度の旗幟を示さなければ、米英の中東侵略を早期に食い止めることはできず、虐殺と破壊の領域が中東で拡大していくことになります。
イラクから米英侵略軍を撃退できるかどうかが、中東全体の災厄を最小化する最大の鍵です。
犠牲者は膨大であっても、イラクで軍事的に米英侵略軍と戦って撃退することが、犠牲者を最少にできる唯一の方法という悲劇的な状況なのです。
イラクが米英侵略者の手に落ちれば、ムスリム同士が米英(世界支配層)のために殺し合うというより悲劇的な状況に進んでいきます。
※ 参照書き込み
『抵抗を止めて米英の軍門に下ればイラクは内戦になる』
( http://www.asyura.com/0304/dispute9/msg/733.html )