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一片の大義もない戦争に突入して、17日が経過した。報道される戦況は混沌としている。アメリカの発表では、首都中心部まで侵攻とするが、大規模な戦闘は伝えられない。「短期終結」を唱えるアメリカ側の政治宣伝と考えるべきであろうか。少なくとも、本日現在では、まだアメリカによる完全制圧を伝えられる都市は、ひとつもない。憶測できることは、アメリカ軍は、急速に進撃し、広い無人の砂漠を占領下に置いたが、都市の占領はこれからということであろう。イラク民衆の大半は、フセイン政権が掌握していると考えてよい。この後、アメリカによる兵糧攻めで都市が急速に崩壊するか、それとも待ち受けるイラク軍と猛烈な戦闘になるか、そのうちに結果が出る。
フセイン排除を唱えて始めた戦争だが、フセインが死んでも戦争は終わらない。戦争開始の数日間のイラク民衆の対応でも、それは明らかである。アメリカが事前に宣伝した、「解放軍」対「独裁者」ではなく、「侵略者」対「イラク民衆」の構図が明確になってしまった。占領地では、激しい抵抗が行われるであろう。どこかの国の首相は、参戦国でもないのに分不相応にも「降伏勧告」などを口にするが、仮にフセインが降伏しようとしたら、反フセイン派がクーデターでこれを殉教者に仕立ててでも継戦の可能性がある。民衆の生命を救う方法は、侵略軍の撤退以外にない。
いずれにしても、今回の戦争で、アメリカの独善的な態度が全世界に明らかになった。ブッシュの演説では、アメリカ流の「自由と民主主義」が根源で、これの伝道者たるアメリカの行為は正義、そして、その正義を実現すべき国連が機能しないので、アメリカが血を流して実行するとしている。国連(安保理)のみが戦争を発動し得るという国連憲章の規定や確立された国際法である内政不干渉の原則など、まったく無視である。
「正義」を振りかざしながら、民衆を虐殺するアメリカの独善的な姿勢には、多くの国が憤りながらも、その強大な力に逆らえないと考えているようである。アラブ各国の指導者は、フセインの「次」の標的にされることを極度に恐れている。現に、イラン、シリア、そしてエジプトなど、アメリカの戦争屋に名前をあげられている国はたまらないだろう。その一方で、これらの国の民衆の間では、イラク支持が強まっている。周辺国では嫌悪されていたはずのフセインまで、アラブの英雄になりつつある。一方、アラブ諸国を除くと、確信犯のイギリスとスペイン以外の各国は、戦後処理の分け前にあずかろうとして、アメリカにすり寄る姿勢を見せつつも、不快感を隠さず、おおむね戦争に反対する姿勢を崩していない。
このような世界の大勢と比べ、ブッシュの参戦演説から数時間で「支持」を表明した日本政府の対応は、国際社会で際立っている。トルコのように、アメリカから巨額の援助を取りつけて、態度を軟化させたのとも異なり、日本の場合は、他国を買収する資金さえ進んで献上しかねないようすである。そのアメリカ追随ぶりは、見ていて恥ずかしくなる。
なお、本日の報道では、アメリカは、フセインを除くことができなくても、イラクの大部を占領した時点で、「勝利」を宣言し、占領政権を樹立する計画らしい。新政権の首班は、親イスラエル派のアメリカ退役少将ガーナーが噂されている。イラク占領が戦争目的であって、「独裁者を倒す」などは開戦に向けた口実に過ぎなかったことが明確になった。
日本政府にお願いしたい。「新政権」を承認するなら、首都、その他の大都市の実効支配を確認してからにしていただきたい。砂漠だけを占領して民衆を支配しない「新政権」を、世界に先立って承認するなどのまねを決してしないでいただきたい。恥の上塗りになる。ただでさえ、理性の存在すら疑われている日本を、これ以上、国際社会で孤立させると、海外で仕事をする日本人は、恥ずかしくて街を歩けなくなる。