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アメリカが掲げる『民主化」の正体
By STRANGELOVE
アメリカ軍のイラク攻撃に関し、日本のマスメディアは奇妙な前提に基づく報道を続けている。戦争はサダム・フセイン体制の崩壊で終了し、ジョージ・ブッシュ政権はイラクを『民主化』、テロリズムを根絶するつもりだというのだが、これは笑止千万。本当の戦争はフセインが排除された後に始まるのであり、アメリカ政府はイラクに真の民主的政権が樹立されることを望んでいるとは思えない。対イラク戦争がテロリズムを広めることになると指摘する人も多い。
1990年代後半、アメリカ軍の内部で戦争形態の変化を指摘する声が広まったことは、すでに指摘した通り。例えば、1997年にはアメリカの指揮幕僚大学が出している『ミリタリー・リビュー』で、「21世紀の戦争は『チェチェン/ソマリア型』になる」とレイモンド・フィンチ陸軍少佐は分析している。ユニフォームを着た正規軍を倒しても戦争は終わらず、次々と新しい戦闘集団が出てくるというわけだ。当然、統合参謀本部でもこうした見方をする軍人は多かったはず。こうした人々は、ハイテク兵器を使った電撃作戦で短期間に勝利するとも予想していなかったと思われる。
ところで、アメリカの情報機関が『対テロリズム』を言いはじめたのは1970年代前半、ベトナム戦争が終わろうとしていた頃のこと。『アカの脅威』に代わるスローガンとして登場、国内の反戦グループ監視の口実にも使われた。1979年にはイスラエルの情報機関と共同で『国際テロリズムに関するエルサレム会議』を開いている。この会議でターゲットになったのがソ連。その直後から「テロの黒幕はソ連だ」というプロパガンダをCIAは大々的に展開していく。『悪の帝国ソ連』と戦う『自由の戦士』の中にオサマ・ビン・ラディンの『アル・カイダ』も含まれていた。
1982年になるとアメリカ政府は『プロジェクト・デモクラシー』なる言葉を使いはじめる。ソ連圏を『民主化』するというわけで、その象徴的な存在がポーランドの反体制労組『連帯』だった。この労組とCIAとの協力関係は公然の秘密で、アメリカの週刊誌『タイム』でも大きく取り上げられている。「このプロジェクトは思想の戦争だ」と1983年5月に指摘したのが『ウォールストリート・ジャーナル』のジェラルド・セイブ記者。アメリカ政府が言う『民主化』とは、ウォール街の金儲けにとって都合の良い体制を意味する。
「第2次世界大戦後、アメリカは日本を民主化したではないか」と言う人もいるだろう。しかし、日本国憲法を作り、日本を民主化しようとしたのはニューディーラーと呼ばれる人々。ウォール街の主流派とは犬猿の仲だったグループである。1945年4月にニューディーラーの中心的存在だったフランクリン・ルーズベルト大統領が急死、数年のうちに日本占領軍からニューディーラーは追放されてしまった。その後、ジョン・フォスター・ダレスをはじめとするウォール街主流派は軌道修正を試み、『逆コース』と呼ばれる流れに変わるのだ。
こうした軌道修正を『冷戦』のせいにする人がいる。が、これは正しくない。日本を『逆コース』に乗せた人々は『ジャパン・ロビー』と呼ばれているが、彼らは戦前、ナチを支援していたとグループと重なる。ウォール街とナチとを結ぶ重要な資金パイプのひとつが大物金融業者、ジョージ・ハーバート・ウォーカーだった。ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ元大統領の祖父、つまりジョージ・ウォーカー・ブッシュ現大統領の曾祖父にあたる人物である。
戦後、ダレスたちは石油利権を拡大するためにイランの民族主義政権をクーデターで倒して王制を樹立、中米のグアテマラや南米のチリでは選挙で選ばれた民主的政権もクーデターで潰している。キューバ侵攻作戦にアメリカの多国籍企業が協力していたことも有名な話。イギリスやオーストラリアでは労働党政権を葬り去ったこともある。(この辺の詳細は、『OPC:米国の極秘テロ組織 』を参照。)
過去を振り返るならば、アメリカ(ウォール街)は自らの利益のために民主主義の芽を摘み取る一方、親米的な軍事独裁政権とは手を組んできた。日本では『自由と民主主義の国』と形容されているアメリカだが、1960年代まで露骨な人種差別政策を続けてきた国だということも忘れてはならない。こうした歴史を知っている世界の人々がアメリカのイラク攻撃に批判的なのは当然のことである。
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【内容】
第2次世界大戦後、アメリカには要人暗殺やクーデターを一手に引き受ける極秘チームが存在した。OPCである。1950年10月にCIAの中に潜り込むが、その後も破壊活動、秘密工作をOPC人脈は続けた。英国のある学者に言わせると、CIAはこうした人脈が隠れ蓑に使ってきたにすぎない。この特別レポートを読まずにアメリカの戦後史を語ることはできない。
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