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投稿数を大幅に減らすつもりだったが、掲示板を拝見すると、小泉首相の「迷走」「開きなおり」にとまどっている感じの反応も見られるようである。
そこで、小泉政権の立脚点と行動原理について「解説」しておくことも有意義かと思い、また投稿させて頂くことにした。
私自身は「米英が安保理の承認なしにイラク戦争を開始したことを」支持すべきではないという立場である。 しかし、本投稿では、そういう問題に直接触れることは避け、「行動原理の解説」に徹するつもりである。
(小泉首相の言動の変遷)
新聞報道によると、3月13日に小沢氏と会談したときに、「新たな安保理決議のない攻撃」について、「その場の雰囲気で決める」と述べた。 小沢氏が激怒したことは言うまでもない。
(関連:【小泉首相が考えるべきこと】 ブッシュ大統領が生け贄にされ日本に罪がなすり付けられる事態(勝手に引用してますが、良いですよね? 読んでない方もおられるかもしれませんし)
http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/1102.html)
2月12日の党首討論では、査察継続についての政府の立場に関して、「ずばっと答えられない」と述べた。
現状では、ブッシュ路線を明確に支持しているのはご存じのとおりである。
国民への説明に関しては、以下のように述べた。
「国家利益を考え、その時々の国際情勢をにらみ、言うべきことと言わない方がいいことを判断しながら説明するのが首相として当然だ。」
小泉首相の言動の変遷は、「言うべきことと言わない方がいいことを判断しながら説明」してきた結果なのである。
それでは、「言うべきこと」「言わない方がいいこと」とは何なのか。
(政治家とその説明)
このあたりの行動原理については以前投稿した。
(Re: 尻切れトンボではないと思いますが?
http://www.asyura.com/2003/war25/msg/734.html)
ようするに、政治家の仕事の多くは、いかに国民に「説明」し、「誘導」するかという策略(マヌーバー)に費やされているということである。
それでは、小泉首相のケースにこの論理を適用してみよう。
(乳児エリート路線)
小泉政権の立場は本当は最初から決まっていた。 別に最近決まったわけではない。
(“乳児”精神の無能で臆病なエリート層が国家を支配していること − 主体的に国家間関係の在り方を追求してこなかったツケ −
http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/637.html)
私はこの議論に納得している。
戦後政治史を簡単に言うと、
岸路線(対米従属路線:保守本流)の成功
その後の「乳児エリート路線」と「独立路線」との対立
「乳児エリート路線」の全面勝利
に分割することができる。
この点については、以下を参照下さい。
(「 田中角栄の呪い」はこれからふりかかる−政治路線について。
http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/1099.html)
田中角栄が預言者というのは小室直樹氏の価値観であり、私は賛同しているが、他人に押しつけるつもりはない。 しかし、価値観を除いて考えても、「構造」的には上に書いたとおりになるはずである。
(乳児エリート路線をひた走るお猿電車)
従って、小泉政権は、最初から米国の戦争支持なのである。 他の選択肢がないからである。 分かりきった話である。
(奴隷として協力するとババを押しつけられるぞ
http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/216.html
ちょっと補足
http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/230.html
中東戦争の始まりに想う−死者達に寄せて
http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/1203.html)
お猿電車では、乗車したお猿さんがいろいろと身振り手振りをしている。 「言うべきことと言わない方がいいことを判断しながら説明」しているわけである。
しかし、その身振り手振りは、国民の支持を得ながら、既定方針を通す」ことが目的のマヌーバーである。
身振り手振りが東を向かっていたとしても、線路が西に向かっていれば、お猿電車はお猿さんとは無関係に西に向かって走るのである。
それでは、今回のケースについて身振り手振りをみてみよう。
(これがお猿さんの身振り手振りだ)
外務省は、国連安保理が否定されるような事態を予測していなかった(私もこれは予測していませんでした)。
外務省は、「フランスが最後には折れる」と首相に報告していたそうである。 時期を考えると、これは間抜けとしか言いようがない。
(【売国奴集団】外務省は仏が最終的に支持に動くと説明 小泉首相「話が違うじゃないか!」と激怒 [J−WAVE] 【首相の責任だ!】
http://www.asyura.com/0304/war26/msg/418.html)
首相としては、最後に安保理がまとまるという観測の下に外交努力を続け、「単独」攻撃を支持するか否かについては、「明らかにすることを避けたかった」のである。 安保理が攻撃でまとまれば、「単独」攻撃を支持するか否かについては、「明らかにする」必要がなくなるからである。
しかし、「単独」攻撃を支持することは決まっているのである。 当たり前ではないだろうか。 ただそれを早期に明らかにすると、支持率が低下し、政策の執行が困難になるという政治判断だったのである。
ただ、ここまで分かりきった結論の表明を引き延ばしたことは、マヌーバーとしても限度を超えている。 国民は愚民扱いといわれても仕方ないだろう。
これでも、イラク戦争が早期終結し、テロ等も起こらなかったら、国民の反応は「結果オーライ」ということになるんじゃないかとも思う。 だけどそれは良くない。 こんなことをしていると亡国ですよ。