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今日発売された「ニューズウイーク日本版4・30/5・7」は、「暴かれたフセイン極秘文書」というイラク関連記事を掲載している。
主たる内容は、イラク情報機関(ISS)が残していたとされる文書の紹介と解説である。それらは、ISSの弱体化や腐敗を示唆するものであったり、フセイン政権の暴虐と圧政を再確認したものである。ISSや特別情報機関の情報には興味を引くものもあるが、ここでは省略させてもらう。(戦争必至なのに情報収集を怠っていたことなど)
強く関心を向けさせたのは、現状のイラクの様子を記述した次のものである。
「暴かれたフセイン極秘文書」 P.16〜24
P.21・23
『<前略>
フセインは演出のうまい「興行師」だ。欲望や恐怖、嫉妬といった人間の弱点を巧みに利用する。フセイン体制下でイラク国民は、彼の絶大な権力を絶えず見せつけられてきた。
フセインの故郷ティクリートでは、彼の肖像画や写真が町中にあふれている。大統領宮殿は、まるでイラク版ベルサイユ宮殿だ。堂々とした宮殿の中に入ると、目の前にキッチュなバロック風の世界が広がる。大理石の半裸の女性像が並び、トレイには金の柄がついた掃除用具が置いてある。
「あの宮殿にはへどが出る」と、クウェートから侵攻してきた米海兵隊員は言う。「イラク南部では、市民が飢えていたというのに」
<攻略>
』
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フセインの牙城と呼ばれ、フセイン政権中枢メンバーの多くが出身地とするティクリートは、侵略軍が最後に制圧したイラクの主要都市である。
バグダッド以上の激戦になるのではないかとも予測され、フセイン一派が立て篭もるとしたらティクリートだとも言われていたにも関わらず、“戦後”ないし現在のティクリートの街中映像は皆無というほど流れていない。
ティクリートに関わる映像は、ニューズウイークの記事にもある大統領宮殿の内部映像、郊外にある陣地にそのまま置き去りにされた戦車、野ざらしで整然と並んだ数十台の戦車、兵器庫らしき建物が破壊され内にあった戦車や装甲車が転がっている状況、空爆で破壊された大統領宮殿か公共施設とおぼしき建物といったものである。
(映像として流された空爆で破壊されたティクリートの建物はその一軒だけである)
街中の映像は「BBCニュース」で一度流れたが、夜中であるにも関わらず照明の使用が許可されていないことを理由に、暗視カメラを使って撮影されたものである。
(戦闘中はもちろん4・9時点のバグダッドでも、夜中のレポートは照明を使って撮影された映像が流されていたにも関わらずである)
バグダッド・バスラ・ナジャフ・カルバラなどは、限定地域ではあるが、昼間の街中映像が何度も流されている。
しかし、フセインの牙城と呼ばれ、フセインをはじめ多くのフセイン政権中枢メンバーの出身地でもあるティリートは、街中の映像さえ流されないという不可思議な扱いを受けている。
そのようななかで、最新号の「ニューズウイーク日本版」が、「フセインの故郷ティクリートでは、彼の肖像画や写真が町中にあふれている」という文字情報を伝えた。
米英侵略軍は、銅像引き倒しを最大のイベントに仕立てたように、フセイン政権崩壊の明示もしくは象徴として南部地域やバグダッドで銅像の引き倒しや肖像画を剥ぎ取ったり塗りつぶしてきた。
ところが、フセインの牙城であるティリートでは、たぶん先週中頃か末の状況だと思われるが、“フセインの肖像画や写真が町中にあふれている”のである。
ティクリートでフセイン派が追い落とされていれば、“フセインの肖像画や写真”は他の都市と同様の憂き目にあったはずである。
ティクリートでフセインの肖像画や写真が町中にあふれているということは、中央政府の政権からフセイン一派は滑り落ちたのは事実だとしても、ティクリートの支配権は今なお維持している証拠であろう。