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朝日新聞:■この戦争を憂える――ブッシュ氏の最後通告 【曖昧】
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投稿者 あっしら 日時 2003 年 3 月 19 日 15:33:33:


 事態はついにここまで来てしまった。

 ブッシュ米大統領がイラクに最後通告を突きつけた。フセイン大統領と息子たちが国を去らなければ、軍事力でイラクを解放する、と。

 米国は国際社会の説得に失敗したのに、独り歩きで戦争へと突き進む。第2次大戦後の世界秩序の大枠となってきた国連の権威は、歴史的な傷を負った。

 米国が期待するように、たとえ短期で終わったとしても、かつての湾岸戦争とは異なり、首都と国土を制圧する戦争である。多くの市民が犠牲となるだろう。世界を思わぬ混乱に導かないとも限らない。

●フセイン氏に残された道

 確かに大量破壊兵器の問題の根源はフセイン氏にある。彼への支持は国際社会にはない。フセイン氏には、祈るような気持ちを込めて、あらためて退陣の決断を求めたい。いまや、それがイラク国民の命を救うただ一つの現実的な道である。

 だが、だからといって、亡命しなければ戦争するだけだというブッシュ氏を支持するわけにはいかない。あらためて、この戦争には理がないと言わねばならない。

 戦争にも守るべきルールがある。踏みにじられることも少なくはなかったが、それでも「法の支配」を根付かせようとする努力が長く重ねられてきた。

 その歴史的な結実が、2度の世界大戦への反省に立って生まれた国連憲章だ。

 それによれば、戦争が許されるのは、受けた武力攻撃に対して自衛権を行使するか、平和を脅かす者に対して国連安保理が武力による制裁を決めた場合だけである。

 今回、イラクはどこの国も攻撃したわけではない。武力制裁を明確に容認した安保理決議もない。アナン国連事務総長は「安保理の支持なしに武力が行使されれば、その正当性に疑問が出る」と述べている。

 国際的な批判や疑念のなかで、米国がイラクを相手にやろうとしているのは「9・11」後に打ち出した「先制攻撃戦略」に基づく最初の戦争である。

●予防戦争は許されぬ

 厳密には先制攻撃とさえ言いにくい。先制攻撃は明白な脅威が差し迫った時の軍事行動だが、今のイラクはそんな状態ではない。むしろ、脅威の芽は早めに摘んでしまおうという予防戦争なのだ。

 予防戦争が許されればどうなるか。世界は、疑心暗鬼がすぐ戦争に結びつく危険な場所となる。それは多国間の協調で何とか「法の支配」を根付かせようとする、過去半世紀の努力を葬り去ることに等しい。

 ブッシュ政権は、イラクを放置すれば核や生物化学兵器がテロ集団の手に渡る恐れがあるという。北朝鮮を見るまでもなく、こうした脅威は深刻である。

 だが、国際社会は核不拡散条約や生物化学兵器を禁止する条約によって、その蔓延(まんえん)を防ごうとしてきた。イラクでは国連による査察が行われてきた。それはまだまだ不十分ではあるが、成果をあげている。

 問題は、それが不満足だからといって、疑惑をもたれた国を武力でたたけば拡散は止まるのか、ということだ。

 戦争は米国への憎悪を生む。比較的簡単に製造できる生物化学兵器で米国に対抗しようとする国やテロ集団が、逆に増える恐れもある。そのひとつひとつを武力で破壊し尽くすことは不可能に近い。

 テロとの戦いに必要なのは軍事力だけではない。テロ組織の捜査や資金源の追及、武器や危険物の密輸の取り締まりなど、世界の国々の幅広い国際協調である。国連が国家を超えたテロ集団の脅威に有効に対処できるよう、能力を高める必要もある。

 しかし、米国はイラク問題で国連に背を向けただけではない。大量破壊兵器の拡散防止やテロ対策に欠かせない欧州同盟国との結束にも深い溝を生んでしまった。

 ブッシュ氏は国連を見限ってなどいないと反論するだろう。事実、開戦後、イラクの復興や難民支援のために新たな安保理決議案の提出を検討するという。

 だが、戦争はこちらでやるから、後始末は戦争に反対した国も含めてよろしくといったやり方は、虫がよすぎないか。

●外交の原点を見失うな

 自分には力がある。最後は思い通りに行動する。ブッシュ氏がそうした姿勢を変えない限り、欧州やアラブ世界との亀裂は広がる。国連の機能不全も続くだろう。

 そうなってほくそ笑むのは「ならず者国家」やテロ集団ではないか。

 それでも、小泉首相は米国のイラク攻撃を支持すると宣言した。北朝鮮の核問題も背景に、何があろうと米国を支持するというのである。

 しかし、国連での今回の事態は、日米同盟とともに「国連重視」を掲げてきた日本にも様々な影響を及ぼすだろう。

 「日米関係の信頼性を損なうことは国家利益に反する」というが、米国との二人三脚が常に国益にかなう保証はない。

 北朝鮮をめぐる緊張がさらに高まれば、安保理を通じた対応が迫られる。もし、米国が今度のように安保理を無視して武力による解決を急いだら、どうなるのか。

 仏独が安保理で開戦反対を貫き通すことを、政府は読み切れなかった。米国の単独行動主義への欧州の憤りは深い。その欧州と地球温暖化防止や対人地雷全面禁止で歩調を合わせてきたにもかかわらず、イラク問題では仏独を批判した。

 日米同盟だけでなく、欧州諸国とも連携した国際協調を巧みに使ってこそ、日本の利益になる。米国が強大化し、国連の権威が揺らいでいる時、日本はその原点を見失ってはならない。

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