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2003-05-22
■「人権侵害の最たるもの」を表彰 ビッグブラザー賞の白石孝事務局長
http://www.mainichi.co.jp/digital/coverstory/today/index.html
■■IT高度化がプライバシー侵害につながる
監視社会を皮肉り、最も人権侵害に貢献した人物やシステムを表彰するビッグブラザー賞が日本で初めて6月に行われる。英国で生まれたパロディイベントだが、実行委員会は日本での問題提起に一役買いたいと意気込んでいる。ビッグブラザー・ジャパン2003実行委員会事務局長の白石孝さんに聞いた。(村田 昭夫)
――ビッグブラザー賞とはどんなものですか。
白石氏 英国にある世界最大の人権NGOのプライバシー・インターナショナルが提唱して1998年にロンドンで始まった行事です。現在は欧州11カ国と米国で毎年開催されています。
――日本で開催すると13カ国目になりますね。
白石氏 そうです。アジアでは初めてです。
――どんな内容ですか。
白石氏 最近はニューヨークで4月に開催されましたが、その年に最もプライバシー侵害に貢献したコンピューターシステム、企業、政治家や官僚を表彰するものです。4月のニューヨークではビンラディン氏に特別賞が贈られました。生涯にわたっての悪党賞ということで、プライバシー侵害の引き金になったという理由です。システムは国防総省の情報管理システムが受賞しました。企業はデルタ航空が乗客のセキュリティーチェックが度を越えているということで受賞しました。政治家、官僚は9・11の後にパトリオット法という愛国者法の立案をした司法省の官僚が選らばれました。
――パロディーですね。
白石氏 そうです。ブラックユーモアですね。英国のプライバシー・インターナショナルが提唱していますが、その団体が各国での行事を行うのではなく、その国の人権にかかわる団体が開催責任をもって、プライバシー・インターナショナルがバックアップする形をとっています。
――日本ではどの団体が実施するのですか。
白石氏 ビッグ・ブラザー・ジャパン2003実行委員会を作りました。その 中に選考委員会を作り、マッド・アマノさんなどが加わっています。住基ネットや盗聴法の問題に取り組んできた市民団体などが事務局を作っています。
――日本のイベントはいつですか。
白石氏 6月29日に有楽町の朝日ホールで開催します。
■■小泉首相や防衛庁、住基ネットなどが候補に
――受賞の候補はどんなものですか。
白石氏 政治家では小泉純一郎首相や片山虎之助総務相などがあがっています。公的機関では防衛庁や警察庁など、システムでは住基ネットやNシステムが候補です。6月10日前後に選考委員会を開いてそこで受賞者を決めます。電子市民投票をしてその結果を選考結果に反映させようと考えていま す。
――英国で生まれ、欧州、米国と広がった行事を日本でやることになった 理由は何ですか。
白石氏 話題性の提供ですね。あくまでもパロディーですから、イベントをやって、こんな問題があるのかということを、真面目一辺倒ですとなかなか広がりがありませんから、このイベントを通じて皆さんに知ってもらいたいということです。
――イベントをやろうというきっかけは何ですか。
白石氏 この行事を日本に紹介したのは選考委員にもなってもらっています富山大学の小倉利丸さんです。プライバシー・インターナショナルと米国のワシントンに本部がある電子プライバシー情報センターという二つの団体 が各国のプライバシーの状況を把握している団体ですが、この2団体が連携して各国の状況をつかんでいます。「プライバシー・ペーパー2002」という年 報を出していますが、その中に日本の状況も数ページ出ています。小倉さんが世界との横のつながりを持っていて、その中でこんなイベントがあるのだが、どうだろうという話があって、それがきっかけです。
――ビッグブラザーの由来は。
白石氏 ジョウージ・オーウェルの小説「1984」の中に出てくるすべてを支配する独裁者の名前です。それが情報や国民、市民を監視し管理していきます。
――反監視国際NGOの活動はどのようなものですか。
白石氏 市民的自由と人権を守り、人権に対する脅威をもたらすものに対して反対運動や意見提案や改善要求をしています。
――現実にはどんな問題が起きていますか。
白石氏 米国の場合には、今回受賞した国防総省による情報の集中管理や9・11以降、米国は全国民にナショナルIDを持たせようとしました。日本の住基ネットと同じICカードです。米国では全国民が網羅されているのは社会保障番号しかありません。しかし、このナショナルID構想は連邦議会で否決され、実現できませんでした。その後出てきているのが運転免許証のICカード化です。この事実は日本ではほとんど報道されていません。朝日新聞に小さく載っただけです。英国では街頭監視カメラの問題があります。この問題は随分報道されています。
――プライバシーインターナショナルあ街頭監視カメラに反対するために結成された団体ですか。
白石氏 いえ、もっと前からありました。街頭監視カメラは英国では随分広がっていますが、英国議会で議論されて、設置規制が法律化されています。設置そのものは否定できないが、設置後の使用について規制しようというものです。犯罪の予防的措置として活用しようとすると、ストレート人権侵害につながります。米国の場合、コンピューター・プロファイリングが問題になっています。
――日本でも、街頭監視カメラはでき始めていますね。
白石氏 警視庁が新宿・歌舞伎町に設置しましたが、ルールがなく警視庁の内部要綱だけです。設置するかしないかは議論の分かれるところですが、 設置する場合には一定のルールを作る必要があると思います。そのあたりが、最低限の我々の問題提起です。
――英国でのその後の議論はどうなっていますか。
白石氏 議会内でも言われているほどの効果があるのか、監視カメラではなく、街頭の明るさを上げるだけで犯罪抑止の効果はある、とも言われています。英国の議論は揺れ動いているようです。
――日本の問題は何ですか。
白石氏 住基ネットが共通番号になってくかどうかに関心を持っています。今の住基ネットのまま続くのならそれほど問題ないと思います。それ に、車の移動の監視をしているNシステムです。世界にも例がないものです。
――Nシステムとはどんなものですか。
白石氏 全国に800カ所くらいあります。スピード違反取締りのカメラのようなもので、赤外線機能も持っていて深夜でも撮影できます。その場所を通過する車のナンバーと運転席と助手席の顔の画像まで記録として撮っています。警察庁が運用していますが、情報がほとんど公開されていませんので、詳しいことは分かりません。警察は車を使った犯罪を割り出した時だけ、このNシステムを発表に使っています。
■■技術先行し民主主義的な視点が薄い日本
――IT関連の技術が高度になれば、プライバシー侵害につながる危険性は高くなりますね。
白石氏 ICカードになると情報量が飛躍的に大きくなります。位置情報もそうです。便利に使われるだけなら問題ないのですが、便利だけですまないとなるとどうなるのか考えなければなりません。日本の場合、技術開発や商用化がいつも先行します。技術ができた時にアセスがかけられないのか問題です。国民的にその技術をどう使うのか、議論する必要があります。民主主義的なキャッチボールがないのです。逆に、規制をするとなると、国による強い規制になります。個人情報保護関連法案などもみなそうです。何かおかしいと思います。
――なぜ極端から極端に走ると思いますか。
白石氏 難しいですね。過去、人権意識が強かったのか、比較すべき尺度がありません。個人ではなく、社会の中にチェック機能を持った団体や組織がなくなっているのは事実です。チェック機能を持った在野の組織がなくなっているとは言えると思います。
――白石さんが所属しているプライバシー・アクションという団体はどんな活動をしていますか。
白石氏 1988年に行政機関を対象にした個人情報保護法が国会に上程されて審議される時にロビー活動をする目的で作った団体です。野党の国会議員に対して資料を提供したり法案の修正要求をしていました。
【略歴】白石孝(しらいし・たかし)1950年東京生まれ。荒川区職員で荒川区職員労働組合書記長。88年設立したプライバシー・アクション代表。2003年2月、ビッグブラザー・ジャパン事務局を設立、事務局長に。52歳。
ビッグ・ブラザー・ジャパン2003
http://bigbrotherjapan.info/main.html