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□和田秀樹公式 HIDEKIWADA.COM マガジン 2003年5月15日号
現在の読者数：5842名 http://www.hidekiwada.com/
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■インデックス―――――――――――――――――――――――――――――――
・今号のメールマガジン
・新着情報
・WEBSITE 関連情報
・メルマガエッセイ59 狂信とイデオロギー ／和田秀樹
・編集後記
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■今号のメールマガジン
今号のエッセイでは、 防衛庁に対する水増し請求がまた見つかった話を
起点にして、和田がいかに個人崇拝や、狂信について怖いことなのかを
わかりやすく説明しています。
バックナンバーをご希望の方は、下記のURLでご参照ください。
→ http://www.melma.com/mag/76/m00018676/index_bn.html
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■新着情報
◎新刊
・5月21日(水)『転職力』和田秀樹 大塚寿 共著 PHP研究所 1,300(税別)
ISBN4-569-62802-8 発売
[勉強・仕事の達人]と[リクルート出身のMBAホルダー]が、自分を高く
売るためのスキルを伝授します。
・『2004年度版 新・受験技法 東大合格の極意』新評論 1,800円(税別)
ISBN4-7978-0602-7 発売
東大の過去問と合格最低点を徹底分析の上、東大合格のためのもっとも
効率的で有効なストラテジーと参考書選び術を披露。
東大逆転合格のための必携マニュアルとなっています。お問い合わせも
多かったこの本がついに発売します。
◎ラジオ
・5月16日(金)16:00〜 毎日放送ラジオ「アングル金曜かわら版」出演予定
・5月22日の朝 大阪朝日放送「東西南北龍介がいく」出演予定
◎イベント
・5月24日(土）PM 4：00〜『2004年度版 新・受験技法 東大合格の極意』
新評論 1,800円(税別) ISBN4-7978-0602-7 の発売に合わせてサイン会を
実地します。
場所：神田三省堂書店本店
内容：先着100名様（新刊発売時より整理券配布）
問い合わせ先：三省堂書店 TEL:03-3233-3312
◎公開講座
・6月18日(水)10:00〜18:00 和田秀樹のメンタルヘルスケア公開講座を
実施いたします。締め切り間近なので、申し込みをご希望の方はいますぐ
下のアドレスをクリックして、詳細をご確認ください。
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■WEBSITE 関連情報
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転職力』和田秀樹 大塚寿 共著 PHP研究所 1,300(税別)
ISBN4-569-62802-8 5月21日発売予定
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■狂信とイデオロギー ／和田 秀樹
防衛庁に対する水増し請求が、また明らかにされた。
そしてモラルのない企業が断罪されているし、その賠償もさせられるそうだが、
いつものことで役人の側の責任が問われることはない。
私は、この問題の本質は、バカ高い請求書や見積もりがきて、それを読めない
役人の体質にあると考えている。民間企業であれば、こんなふざけた見積もりを
出させて、それが通るわけはない。各社、このご時世で利益を出すのに必死
だからだ。
実際、このコラムで何回も話題にしているが、役人のコスト意識は
めちゃくちゃだ。アメリカで200万円で納入される信号機が、日本だと600万円も
払っている。こういう無駄をなくせば、公共の工事だけで年間50兆円使っている
とのことだが、30％くらいは楽に浮くはずだ。これで15兆円浮く。30％でも
甘いくらいだ。民間ではビルの建設のコストがバブル期に坪150万円だったものが、
今ははるかにインテリジェンス化されているのに60〜80万円で済んでいる。
たとえば日本を代表する高級マンションの場合は、その不動産会社が一括で大量
仕入れのような形をしていることもあって、大理石をエントランスにはっても、
坪55万円であげているのである。
国債の発行枠を30兆円以内などとばかなことを言わなくても20兆円以内に
確実にできる。見積もりも読めないような無能な役人を雇わず、建設会社を
リストラにあった人を値切り係に雇えば、公共事業の数を減らさずとも財政
改革はできるのである。
そんなことをむかついて、例のごとくタクシーの運転手さんに話しかけたら、
バブル期に別の仕事（雰囲気的には建設関係のようだった）いい思いをして
いたが、今は仕事をやめて（おそらくはリストラだろう）タクシーにのって
5年というその運転手さんは、「お客さん、本当にそんなことだと思います。
まだ若いから甘いですね」と一笑に付された。
彼の説では、役人が見積もりを読めなかったのではなくて、高めの見積もりを
黙認して、あるいは出させて、役人がその利益の中からキックバックを受けたの
だろうという。おそらく、そういう取引のある経験者である彼は、自信をもって
断言する。「こうして、世の中のことがわかった頃には、すっかり歳をとって
怒る気力もなくなるから、日本の政治が変わらないんでしょうね」と。
私の、あまりに性善説な、ただし役人が無能であるという説が正しいのか、
彼の性悪説だが、実は役人は賢いという説が正しいのかは、私にはわからない。
ひょっとしてキックバックを求められた会社が内部告発をすれば明らかになる
かもしれない。二人の考えに共通しているのは、税金が無駄に使われていると
いうことだし、これが氷山の一角であるだろうということだった。
私がこの話を引き合いに出したのは、偉いジャーナリストや事情通の話は
真実で、あるいは自分が賢いと思っている自分の理論は真実で、タクシーの
運転手の話は信じるに値しないと考えるのではなく、どれも正しい可能性がある
という点では同列だと考えるべきだと言うことだ。
文系の人は権威のある人の発言を素直に受け入れてしまうが、本当は実験して
みるまで答えがわからないことは実に多い。
今の経済政策にしても、教育政策にしても、権威のある学者の説にしたがった
結果がこの体たらくである。もっと現場の声をきいて別の仮説を立てて、それを
試してみないことには良い結果など生まれないだろう。
実は、どれが正しくて、どれが誤っているという発送自体が危険で、頭の悪い
ものかもしれない。私の予想も正しいし、タクシーの運転手さんの予想も両方
正しいのかもしれない。だからこそ、実は水増し請求をされなくても、十分な
利益が出せてキックバックできたのに、企業にだまされて水増し請求を通して
くれないとキックバックができないといわれたのを素直に信じたのかもしれない。
だとすると、見積もりが読めないのも、キックバックを求めたのも両方本当と
いうことになる。
片方の話が本当だとわかった時点で、別の可能性を捨てるのも実は危険なのだ。
拉致事件にしても、彼らがやったのが本当だとしても、残りの疑いのあるものに
ついては全部彼らがやっていると決めてかかるのは危険かもしれない。
拉致を疑われながら、実は悲惨な少女監禁だった新潟の佐藤宣行のようなケース
もある。北朝鮮が拉致を告白したことで、大喜びをしている日本海側の殺人犯が
いないとは限らない。自分が殺した相手が拉致被害者かもしれない人にリスト
アップされていることで狂喜乱舞している人もいるかもしれない。
私はそれを北朝鮮のせいにするなといっているのではない。一つでも犯罪を
犯した人間は、ほかの犯罪も疑われて当然のことだ。犯罪者の更正に過度に期待
するより、彼らの再犯率は一般の人の数百倍ということで常に監視すべきだと
さえ思っている。
ただ、忘れてはいけないのは北朝鮮の人間だけでなく、日本人も殺人も誘拐も
やるということだ。北朝鮮にやられた犯罪被害者だけに同情が集まって、日本人に
やられた被害者がないがしろにされるのは許されないし、拉致をした北朝鮮の
人民が何十万人も飢え死にさせるという刑を選択した国が、いっぽうではレイプ
殺人をした上赤ん坊まで殺す１９歳の人間を死刑にしないというのでは、民族
差別だといわれても仕方がないと言いたいのだ。
話はそれたが、北朝鮮が拉致を認めたからといって、第二の新潟事件のような
ものがないとは限らない。だから、警察も国内の捜査を打ち切ることを辞めて
ほしくない。そうでないと被害者も家族も浮かばれないということだ。拉致の
疑いのあった人が、実は国内反に殺されていたり、監禁されていたりが判明
したら、警察も救う会も面目が潰れるということがあるかもしれないが、その
せいで一人の、あるいは数人の人が救われないほうがよほど問題である。
実は、ここまでは、本エッセイの前書きである。
私がこのエッセイで言いたかったのは狂信の怖さということだ。
人間というのは、一つのことを信じてしまうと、別の可能性が考えられなく
なるし、別の情報や意見に聴く耳をもてなくなってしまう。
役人のキックバックを信じてしまうと、役人が見積もりを読めない可能性を
否定してしまうし、役人の見積もりがよめない点ばかりを考慮していると、
キックバックの可能性が想像できなくなる。北朝鮮の拉致がすべてだと考えて
しまうと、日本海側の行方不明者がすべて拉致だと考えられて、ほかに犯人が
いる可能性は無視される。
そういうことでは解決にならない。
役人についていえば、キックバックの可能性を捜査しながら、見積もりが
本当に読めているのかテストをするべきだろうし、日本海側の行方不明者に
しても、拉致疑惑の真相解明を北朝鮮に求めながら、日本国内の捜査も続けないと
いけない。要は両方の可能性を否定せずに、やるべきことをやるということだ。
最近になって、白装束のカルト集団がマスコミの注目を集めている。そして
カルトは怖いという考えがトレンドになっている。
極論をする人は宗教や信仰は恐ろしいとさえいう（テレビではとある新興
宗教が怖くて口が裂けてもいえないことだが、一般の人の間では、そういう
話を結構聞く）。
そうではなくて、信仰そのものは人の心を支える機能もあるし、それを持つ
ことは、ヨーロッパやアメリカやイスラムでみられるように正常なこと（むしろ
宗教をもたない日本人のほうが、世界の基準でみると異常といえる）なのだが、
それに対する狂信がいけないということだろう。
要するに、それを盲信することにより起こりうるほかの可能性が危険だという
ことだ。
そうなってしまうと、世間の人の意見を聴く耳をもたず、教祖様のいいなりに
なってしまう。あげくはオウム事件のようなことが起こるのだろう。オウムまで
いかなくても、全財産を巻き上げられるようなことはざらにある。
私は、宗教団体が政治に参加することも問題はないと思っている。ヨーロッパ
にはキリスト教民主党のように宗教団体の名前を堂々と掲げている政党もあるし、
それが与党になったりしている。問題なのは、それが狂信者だった場合だ。
とくにそれが個人崇拝だった場合は危険だ。
たとえば、日本の宗教団体がやっていると言われている政党の議員が狂信者か
どうかを調べる方法は簡単である。
国会ででも、「あなたは、○田×作氏が間違いをする可能性はあると
思いますか」と問う。
「いや○田先生は、間違いなどなさるわけがありません」と答えるとすれば
（先生という呼称自身も個人崇拝の可能性があるが、これは医者でも呼ばれる
呼称なので問題はないだろう）、間違いをしない人間などいるはずがないので、
狂信あるいは盲信に近い可能性がある。これでは、○田先生のいうことなら
何でも聞きかねないので危険なのは明らかだ。○田先生も人間のはずなので、
アルツハイマー病にかかる可能性は皆無ではない（それどころか80代になれば
20％はある）。そうなったあとでも、○田先生のいうことは何でも正しいと
いうことになれば危険なのは明らかだ。
「私は○田先生のことは尊敬しておりますし、これまでのところはそう誤った
ことをおっしゃった記憶はありませんし、かなりの影響を受けたと思っており
ますが、人間である以上間違いをする可能性はゼロとは思いません」と答える
のであれば、これは狂信でなく信仰である。こういう人が国会議員になるので
あれば何の問題もないだろう。心の支えになって尊敬できる人がいるのは、
むしろいいことである。いくら○田先生のころが嫌いでも、それを尊敬する人まで
嫌いというのは、むしろ大人気ないし、反○田先生という別の狂信をしているに
過ぎなくなるのだ。（こんな風な事例をだして、その論理を説明しても嫌がらせの
メールなどがきたら、やはり私はその人を狂信者と思う。そういう人には現実
問題として説得が不能なので、返事は書かないことをお断りしておく）
何度も言うが、信仰はいけないことではなくて、むしろ素晴らしいことだ。
そうではなくて、狂信や個人崇拝が危険なのだ。
そういう点でいうと、共産主義がいけないのでなくて、共産主義への狂信や
個人崇拝がだめな共産主義国を作っているのだろう。共産主義の原型への
こだわりを捨て、時代に応じたアレンジをして、かつ個人崇拝を排した中国が
世界でもっとも高い経済成長率を誇っているのに、共産主義の原型にこだわり
個人崇拝を行う北朝鮮がいちばん悲惨なのでもわかるのではないだろうか？
逆に言うと、反共ということについても狂信的になってしまうと本末転倒な
ことになる。個人に自由を与えろ、言論統制をするなといいながら、自分の
ほうが向こうに少しでも都合のいいことを言うのは許さないというのでは、
どちらが独裁なのだということになってしまう。
人間というのは、宗教であれ、イデオロギーであれ、何かを信じてしまうと、
とくに心の支えがない時期や、景気の悪い時期、不安な時期は、それが健全な
信仰ではなく、狂信のほうに走ってしまうものだ。
そうならないうように、自分の信じているものや信条について、別の可能性を
考え、別の角度から見られる、批判的な目、クリティカルな目、つまり
メタ認知的な態度を残しておきたいものだ。
エッセイのご意見・ご感想はこちらへお願いします。
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――新刊のご案内――――――――――――――――――――――――――――――
『2004年度版 新・受験技法 東大合格の極意』新評論 1,800円(税別)
ISBN4-7978-0602-7
東大の過去問と合格最低点を徹底分析の上、東大合格のためのもっとも
効率的で有効なストラテジーと参考書選び術を披露。
東大逆転合格のための必携マニュアルです。
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■編集後記
前回、発表したサイン会の詳細が決まりました。
私も都合がつけばいってみようかなって思っています。東大を目指す受験生の
皆さんぜひ来てくださいね。また、6月に京都でもサイン会を予定していますので、
次のメールマガジンで詳細発表するのでお待ちくださいね。
次回発行は、6月1日の予定です。ご期待ください。
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