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おもちゃから自動車まで、被害者が企業の製造責任を問う訴訟社会、米国で銃産業がその唯一の対象外になる可能性が出てきた。共和党が多数を占める米議会下院で銃の製造・販売企業に対する訴訟を禁じる法案を可決、上院でも賛成多数の見通しが強まっているためだ。銃規制派の市民団体はこれに反発しており、擁護派との間で対立が激しさを増しそうだ。(ニューヨーク・寺本政司)
■まるで悪夢
「まるで悪夢のよう」。米下院で法案が可決した先月中旬。デニス・ジョンソンさんは記者会見で怒りをぶちまけた。
昨年十月、首都ワシントン周辺の住民を恐怖に陥れた無差別連続狙撃事件。犠牲者は十人を数え、ジョンソンさんはバス運転手の夫を失った。司法当局などの調査で犯人が使用していたライフル銃はワシントン州タコマの銃販売店で売られていたことが判明。ジョンソンさんはこの販売店と銃器製造企業を訴えた。しかし、法案では訴訟中の案件も免責対象となる。成立すれば、訴訟自体が無効となるのだ。
提案者の一人であるスターンズ下院議員(共和党)は「訴訟によって(銃を規制する)誤った世論を形成する動きを止める第一歩だ」と話す。同様な法案は過去にも提出されたことがあるが、昨年十一月、共和党が中間選挙で上下両院の多数を占め、ブッシュ大統領も共和党であることから、成立が一気に現実味を増した。
同党の大口献金先で、銃擁護派の圧力団体、全米ライフル協会(NRA)も最重要テーマと位置づけ、議会で支持獲得活動を積極的に展開している。
銃犯罪に悩むニューオーリンズやシカゴ、アトランタなど、三十近くの都市が「銃器産業は過剰生産で犯罪を助長している」などとして業界を訴えている。全米黒人地位向上協会(NAACP)も貧困層の黒人が犯罪に巻き込まれる割合が高いとして、ニューヨーク連邦裁判所などで訴訟を展開中だ。
合衆国憲法で個人の銃保有が認められるため、企業の社会的責任を追及することによって一定の歯止めをかける狙いだ。
「酔っ払い運転をしたからといって、ゼネラル・モーターズ(GM)や販売業者を非難するようなものだ」。銃犯罪で企業の責任を問う風潮をこう批判するのは業界団体、全米射撃スポーツ財団の顧問弁護士、ローレンス・キーン氏。
■市場14億ドル
業界関係者によると、米銃器産業の市場規模は十億−十四億ドル。しかし、販売店を中心に、ほとんど中小零細企業なため、業界は訴訟費用や相次ぐ安全対策などで経営が圧迫されており、銃擁護派は「銃保有の権利が脅かされかねない」と危機感を強める。キーン氏は「業界が倒産に追い込まれるような軽率な訴訟、政治目的の訴訟に歯止めをかける」と法案成立を歓迎する構えだ。
一方、法案に反対するリード上院議員(民主党)は「おもちゃですら免責がないのに、銃のような危険な商品を規制しないのはおかしい」と批判する。銃は元来「政府の規制を受けない米国最後の消費者製品」(銃規制派団体)と言われてきただけに、法律によって、この流れを強化しかねないと警戒する。
■増える犯罪
米国では一九九二年十月にルイジアナ州で起きた名古屋市の高校生、服部剛丈君=当時(16)=の射殺事件や九九年四月のコロラド州の高校生銃乱射事件など子供が銃犯罪や被害に巻き込まれるケースが後を絶たず、そのたびごとに銃規制が論議されてきた。しかし、規制の目を盗むように闇取引などが横行、四月末にはペンシルベニア州で中学生が校長を射殺する事件が起きたばかりだ。
銃規制をする米財務省アルコール・たばこ・銃器取締局(AFT)の調査で、ジョンソンさんが訴えている販売店では、過去三年間に二百三十余丁の銃が行方不明になっていることが判明。それでも営業は続いているという。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20030513/mng_____kakushin000.shtml