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●表題通りの騒動が4月の末に起きました。コークの景品につけた小さなロボットの人形に、ナチスのハーケンクロイツが付いていたことが、香港のユダヤ教ラビの逆鱗に触れたようです。
●問題の人形は下記の写真のとおりですが――
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●コカコーラ製「ロボワル」フィギュアの写真
http://english.pravda.ru/img/2003/05/robowaru.jpg
または↓
http://lenta.ru:8000/oddly/2003/04/30/swastika/picture.jpg
(出典 http://www.lenta.ru/oddly/2003/04/30/swastika/)
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――ご覧になればわかるように、これは日本ではおなじみの石森章太郎氏原作の『がんばれロボコン』に出てくる悪者キャラクターなのでした。
●この「ロボワル」については、コカコーラと関係なく、日本でもすでにこんな商品になっています。
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http://www.kaikodo.net/sb04/07.html
ロボワルは「がんばれロボコン」に登場。1974〜76年放送。
大きさは10センチ。
(「ロボワル」フィギュアの写真)
http://www.kaikodo.net/sb04/img/049.jpg
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●そして悪の権化である「ロボワル」が、その役割を象徴する“わかりやすい記号”であるナチス版鉤十字を左右の胸につけていることは一目瞭然のことですし、“ナチカル情報”として次のような報告も登場しています。
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ナチカル情報 特撮ヒーロー編
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/8903/tokusatsu.html
■がんばれロボコン 昭和49年
作中の登場ロボット「ロボワル」の弟「ロボガキ」の胸に、鈎十字のマークがあります。「ロボワル」は、卍マークです。(情報提供:ミカエリス氏)
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――上記の「ナチカル情報」をみればわかるように、“悪の権化”を示す記号としてナチスに似せた小道具や持たせたキャラクターは、日本の“重要な輸出用文化商品”に格上げされた漫画のなかには、それこそ腐るほどたくさん存在しています。
●「コカコーラが販促景品にナチスの象徴を描いていた」というだけなら、問題は単純だったかもしれません。……が、下記に例示したいくつかの新聞報道(ロシアの『プラウダ』と米国の『アリゾナ・セントラル』)には、いくつか無視できない論点が含まれているように思えます。すなわち――
【1】ユダヤ教会の宗教者が、鉤十字とみるや「600万人大量虐殺のシンボル」だと決めつけて、見境なく撤去を要求していること。
(「600万人大虐殺」説の吟味はとりあえず置いておくとして、たとえナチスが用いたシンボルであっても、それを崇拝目的で用いるのと、批判的意味合いで用いるのは、目的も効果も正反対でありましょう。それを一律に排撃するのは理不尽ですし、ナチス擁護を目的としていないものまで「不愉快だから消えろ」と主張するのは傲慢でしかありません。こうした理不尽を貫くなら、ユダヤ人にとって不愉快な記憶であるはずの「ホロコースト博物館」のようなものを抹消すべきだ、という理屈になるはずですし、強制収容所の記憶を呼び起こすようなスピルバーグの『シンドラーのリスト』のようなものはそもそも上映禁止にすべきだ、という理屈にもなるはずなのですが、そうした動きが無視しうるほどだったという事実は、政治的なご都合主義を示しています。)
【2】コカコーラがナチス版鉤十字とおなじデザインの景品を作っていたのは、これが最初ではないこと。
(『プラウダ』記事が指摘するように、コカコーラは1920年代に、否定しようのないほどはっきりとした“ハーケンクロイツ”ふうの時計かくしを販促景品として作っていました。当時はまだナチスが政権を取るには至っていなかったわけですが、どういう意図でこうしたデザインが出てきたのか、そして、たとえ“過ぎた昔の話”であっても、戦後にユダヤ人団体はかつてのコカコーラのこの時計かくしのことを問題にしたのか? 興味ぶかい疑問です。)
★【1920年代にコカコーラが景品にしていた“時計かくし”】
http://english.pravda.ru/img/2003/5/watchfob.jpg
【3】日本の漫画キャラクターが、ナチス版鉤十字を使っていた事実が国際的な問題になったこと。
(ナチス的なデザインは、日本では心理的な抵抗なく使われてきました。[←日本の文化が安直な欧米追従から脱皮するためには、こうした“ナチカル”現象そのものを批判的に乗り越えていかねばならないでしょう。] そうしたデザインの漫画キャラクターのようなものが国際商品として流通するようになったいま、ユダヤ人団体から抗議を受ける可能性に直面することになったわけです。しかし、ナチス的なものを祭り上げる目的で鉤十字のようなシンボルを使うのは論外でしょうが、これを“悪の象徴”として用いることまで否定すべきなのか、あらためて検討する必要があるでしょう。その作業を怠り、今回の石森プロや東映の対応のように釈然としない態度をとっていれば、集中的な攻撃に遭って、経営に大きな打撃を受けることになるかもしれません。)
●下記はロシアで報じられたものですが、これは後出のAP報道などを
参考にして、10日以上たってから現われた記事です。
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http://english.pravda.ru/world/20/91/368/9949_coke.html
Coca-Cola Places Nazi Symbolism on Toys
【コカコーラが景品玩具にナチスの紋章を付けている】
05/12/2003 17:37
The soft drink giant has adorned plastic robot figurines with swastikas
【清涼飲料水メーカーの“巨人”がロボット人形をカギ十字で飾り付けていた。】
On April 30th, 2003, Oleh Leah Synagogue Rabbi Yakkov Kermaier told AP that the Robowaru robot that Coca-Cola used in its promotional advertising carries the symbol that represents the destruction of six million Jews. (As a matter of fact, Robowaru is not a robot, but a small plastic figurine that stands on a "pedestal" which has the Coca-Cola symbol.) There are two swastikas on the front side of the robot.
【2003年4月30日に(香港の)オレーレア・シナゴーグのラビであるユッコフ・ケルマイア氏がAP通信に対し、コカコーラが販促広告に600万人のユダヤ人殺しを示す象徴を掲げた「ロボワル」ロボットを使用していると語った。(実は「ロボワル」というのはロボットではなく、コカコーラのシンボルが付いた“台座”のうえに立っているプラスチック製の小さなフィギュアで。)】
The organizers of the promotional action, which takes place in Hong Kong only, decided to give away a Robowaru to any customer who purchases six bottles of Coke. It is also possible to buy the toy alone for $3.60.
【この販促活動はそもそも香港だけで行なわれたのだが、販促活動の企画者はビン入りコーク6本を買った客には「ロボワル」1個を進呈すると決めていた。そのほか、3.6ドルでこの人形を購入できるようにしていた。】
The rabbi pointed out that such a reminder of the Nazi-s murderous acts most likely appeared as a result of a mistake. The rabbi also added that the swastika could be interpreted as a Buddhist symbol that is widely recognized in Asia. Nevertheless, the rabbi demanded the toys be withdrawn from sales and give-aways.
【ケルマイア師は、こうしたナチスの殺戮行為を思い出させるものが登場したのは多分勘違いによるものだろうと指摘している。さらに彼は、アジア地域では広く認知されている仏教のシンボルと勘違いしてカギ十字を使ったのかもしれない、とも発言した。だがたとえそうであっても、この玩具を売ることも景品に使うことも自粛してもらいたいとケルマイア師は語った。】
Coca-Cola spokeswoman Elsie Tsui said that the robots were designed on the basis of an original project. Jennifer Chan from the Chinese company Animation International, which owns the copyright both for Robowaru and the whole Robocon set in the region, claimed that the toy had nothing to do with either any organization or any religion.
【コカコーラの広報担当者エルシー・ツイ氏は、このロボットにはオリジナルの作品があり、それを元にデザインしたと語っている。中国企業“アニメーション・インターナショナル”はこの「ロボワル」やその他「ロボコン」に関するこの地域における全ての著作権を有しているが、同社のジェニファー・チャン氏はこの玩具は結社とか宗教とかに全く関係がないと主張した。、】
The final result of the scandal is that news sites started publishing headlines like "Coca-Cola Promotes Drink with 'Swastika' Robots," "Coke Yanks 'Nazi' Robot Toys," "Coke Pulls Its 'NAZI' Toy Robot," and the like. Well, this is a pretty strong combination - "always Coca-Cola," Nazis and robots.
【このスキャンダルによって、結局、ニュースサイトには次のような見出しが並んだ――「コカコーラが“カギ十字”ロボットで販促」「コークが“ナチス”ロボットおもちゃを降板」「“ナチス”のおもちゃロボットでコークの気が抜けた」等々……。なるほど「いつもコカコーラ」とナチスとロボット……とくれば強力な取り合わせではある。】
Another spokeswoman for the soft drink giant, Kelly Brooks, stated that the company was sorry about the mistake, so it was decided to pull the scandalous robot figurine.
【清涼飲料水メーカーの巨人であるコカコーラのもうひとりの広報担当者であるケリー・ブルックス氏は、同社としてはこのあやまちを遺憾に思っており、それゆえスキャンダラスなロボット人形を撤退させることを決めたと述べた。】
Well, it is really hard to understand who needs to have their heads examined - a designer who put swastikas on the toys, or the company, which did not notice it. Or was it the local Jewish leader, who, suffering from swastikaphobia, was unable to distinguish between Nazi and Buddhist symbols?
【だが、トンデモないことをしでかし、おつむの中味を検査する必要があるのは一体だれなのか、理解しがたい事件だといえる。カギ十字をおもちゃに貼り付けたデザイナーが阿呆なのか? それに気づかなかった企業が阿呆なのか? あるいは“カギ十字恐怖症”が高じてナチスと仏教のシンボルの分別がつけられない偏狭なユダヤ教指導者が阿呆なのか?】
Robocon, a series of robot toys, appeared back in 1974 as a Japanese television series like the Teletubbies. The company was renewed at the end of the 1990s, although it preserved its image. The set of Robocon toys includes a girl Robin, a crazy scientist Robogaki, a carpenter's hardworking mate, a good thief Robodoro, a cook Robomugu and other robots of various designs and characteristics. Robowaru originally meant to be a "bad guy"; he always thinks of doing something bad. This is a question to put to the designer - was the robot adorned with the two swastikas in order to portray its negative aspects?
【このロボット玩具は「ロボコン」シリーズというが、これはそもそも1974年に日本でテレビ放映された「テレタビーズ」のようなぬいぐるみ人形芝居だった。ロボコン一座は90年代のおわりに顔ぶれが一新されたが、その姿かたちは原形をとどめている。「ロボコン」玩具一式には「ロビンちゃん」という少女や、マッドサイエンティストの「ロボガキ」、大工の勤勉な友だち、気のいい泥棒の「ロボドロ」、コックの「ロボムグ」等々、さまざまなロボットが登場する。「ロボワル」というのは元来「悪者」を意味しており、実際、年がら年じゅう悪事ばかりを考えている役柄だ。ここでデザイナーへの疑問が生じる。「悪者」ロボットだからといって、カギ十字を2個もつける必要があるのか?】
There is no point in writing about the swastika in order to explain its ancient origin. However, in 1925, Coca-Cola produced a swastika-shaped watch fob made of brass. The front side of the watch fob said: "Drink Coca-Cola in Bottles v 5 cents." As you can see, Robowaru is not the first such experience with Coca-Cola. However, the watch fob was produced in the 1920s.
【カギ十字の古代起源をここで解説する気はない。だがコカコーラ社は1925年にカギ十字の形をした真鍮製の“時計かくし(ウォッチ・フォッブ)”を実際に作っているのだ。その“時計かくし”の前面にはこんな文字が刻まれていた――「飲もう、ビン入りコカコーラ、5セント」。……ごらんのとおりコカコーラがカギ十字をつかったのは「ロボワル」が最初ではなかったのだ。しかもこの“時計かくし”は1920年代に実際に製造されていたのである。】
Speaking about the accusation from the aforementioned Hong Kong rabbi: The Nazi swastika is a swastika that faces clockwise, aiming its axes to the right. This is exactly the symbol that was placed on the German banner during 1933-1945. Nazis used to call this symbol the "Hakenkreuz." Some reference books explain the difference between the Hakenkreuz (the Nazi swastika) and traditional kinds of swastikas in Asia and in America that are face counter-clockwise.
【先述の香港のユダヤ教ラビの告発について言わせてもらうなら、ナチスのカギ十字は時計回りとは逆で、“斧”が右回りに描かれている。ナチス・ドイツが1933〜45年に旗印にしていたのは、まさにこのシンボルだった。ナチスはこれを「ハーケンクロイツ(鉤十字)」と呼んでいた。文献をみると、ナチス版鉤十字(ハーケンクロイツ)と、アジアやアメリカの左回りに描かれた伝統的なカギ十字(卍)との違いが説明されている。】
The two swastikas that can be seen on Robowaru robot are a classic example of a Hakenkreuz; they are not a symbol of Buddhism. Thus, some reporters are not right when they say that there are "swastika-like symbols" or "two reversed symbols of the notorious Nazi Party" on the robot.
【「ロボワル」ロボットに描かれている2つのカギ十字は、典型的な“ハーケンクロイツ”であって、仏教のシンボルの卍(まんじ)ではない。だからニュース記事によってはこのロボットに「カギ十字のようなシンボル」とか「悪名高いナチス党のシンボルの反転画像」が貼られていると報じたものがあるが、それらは間違いだ。】
At the end of the day, media outlets are not important in this story. We have the soft drink giant Coca-Cola, which has produced a toy robot adorned with the Nazi symbol. Was it really a mistake? What can McDonald's offer, for instance?
【けっきょく、この事件に関してはマスコミの空騒ぎだったといえる。清涼飲料水メーカーの巨人であるコカコーラ社が、ナチスのシンボルで飾りたてたおもちゃのロボットを製造した。これは本当に“あやまち”だったのか? マクドナルドなら、こういう景品をつけるだろうか?】
On the photo: Coca-Cola watch fob
【1920年代にコカコーラが景品にしていた“時計かくし”】
http://english.pravda.ru/img/2003/5/watchfob.jpg
Membrana
http://www.membrana.ru/
Read the original in Russian: http://world.pravda.ru/world/2003/5/16/43/10308_cola.html (Translated by: Dmitry Sudakov)
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●下記は4月末にアメリカで報じられた、香港の「ロボワル騒動」です。
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●『アリゾナ・セントラル』紙(2003年4月30日付)
http://www.azcentral.com/offbeat/articles/0430coca-cola-swastikas30-ON.html
Coke promotion has swastika-bearing robot
Associated Press
Apr. 30, 2003 03:10 PM
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【写真】
Associated Press
"Robowaru" was given the boot for its swastika-like designs on its chest.
【「ロボワル」は胸にカギ十字のような紋章が付いていたのでお払い箱行きになった(AP提供)】
http://www.azcentral.com/arizonarepublic/news/gifs/breaking/0430coca-cola-swastikas30-ON.jpg
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HONG KONG - Soft drink giant Coca-Cola said Wednesday it has pulled a robot figurine adorned with what appear to be swastikas from a Hong Kong promotion following criticism from a local Jewish leader.
The company withdrew "Robowaru" from a promotional set of plastic figurines derived from the Japanese television series "Robocon," after Rabbi Yakkov Kermaier of Hong Kong complained, Coca-Cola spokesman Kelly Brooks said.
Robowaru has two swastika-like designs printed on its chest. "We regret any misunderstanding this may have caused," Brooks said in a telephone interview from Atlanta.
He said the figurines were "exact replicas" of characters featured in the television series.
The Nazi swastika can easily be confused with a similar Buddhist symbol common in Asia. The two are nearly reverse images of one another, with the arms pointing in opposite directions.
The toy set can be bought for $3.60 with any purchase of six bottles of Coke. The miniature characters stand on small plastic pedestals with Coca-Cola logos on them.
Kermaier acknowledged the figurine probably was the result of an honest mistake. Still, "it's not simply a politically incorrect symbol," Kermaier said Wednesday. "It's an emblem that represents the wholesale slaughter of 6 million Jews."
【ケルマイア師はこの人形(にカギ十字が付いていたこと)は悪気のない過失にすぎないのだろうと認めている。だが「これは政治的に不適切なシンボルだ、という話では済まされないのです」とケルマイア師は水曜日(4月30日)に語った。「これは600万人のユダヤ人を大量殺戮した象徴的な紋章なのです」と述べたのである。】
At Animation International, which sells rights for Robocon in the region and worked with Coca-Cola on the toys, spokeswoman Jennifer Chan said the symbols were designed by the creator and "did not have anything to do with any organization or religion."
Ishimori Pro, the production house of late Robocon creator Shotaro Ishinomori, declined comment on Wednesday, as did Toei, the company that owns the rights to Robocon movies and merchandise.
【「ロボコン」を生み出したのは故・石森章太郎氏であるが、彼のプロダクションである「石森プロ」に水曜日(4月30日)にコメントを求めたが拒否された。「ロボコン」の映画化権と商品化権を所有している東映もコメントを拒否してきた。】
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