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投稿 平成15年05月10日01時35分
太田龍の時事寸評
平成十五年(二〇〇三年)五月九日(金)
(第五百七十二回)
○シァディア・B・ドルーリー著
レオ・シュトラウスとアメリカの右翼
Leo Strauss and the American Right.
By Shadia B.Drury.
一九九七年
St. Martin's Press
USA(NY)
○この本は、「EIR」誌によって知り、注文し、四月二十四日着。
概ね、これを通読した。
○「EIR」誌は、同じ著者の前作。
The Political Ideas of Leo Straus(1988)
(レオ・シュトラウスの政治的概念)
が、シュトラウスの思想を知るには最良の書である、とするが、
あいにく、この本は絶版で、今のところ、入手不能である。
○本書程度のものは、日本で、米国のいわゆる「ネオコン」を論じる
ためには必須の基礎文献として消化して置く必要あり。
○本書は、
(1)米国のいわゆるネオコン派は、レオ・シュトラウス学派を
母体として生まれたものであること。
(2)ネオコン(ネオ・コンサバティブ)は、保守派、と自称する
けれどもそれは実体と違う。
(3)シュトラウス派の作り出したネオコンは、保守ではなくて、
右翼であり、
(4)そして、右翼ラジカル、右翼急進派、又は、右翼過激派、過
激派右翼、である。
と結論付ける。
○これは、良い線を突いて居る。
○ここで、ドルーリー女史が、「右翼」、と言うとき、それは、
フランス革命由来の概念でる。
○フランス革命は、ブルボン王朝を打倒した、リベラリズムの革命
である。そして、このリベラリズム革命が、その右翼と、左翼を
生み出す。
○重要なことは、この右翼、左翼が、フランス革命を共通の出発点、
として居る、と言うことである、と。
○二十世紀の西洋の政治は、このようなものとしての右翼急進派、
左翼急進派、を生み落とした。
○いま、米国ネオコン派、と呼ばれて居る政治潮流は、以上のような
文脈の中での、アメリカ右翼、ないし、右翼急進派、又は、右翼
過激派、と言うべきであると、と。
○今の日本人には、しかしながら、こうした、ごくもともな分析は、
難し過ぎて、耳に入らないかも知れない。
○リベラリズムが煮詰まってどうなるか。
西洋欧米の思想史を調べれば、それは一目瞭然である、
それは、
(1)相対主義、文化多元主義。
(2)ニーチェの説くニヒリズム化。
(3)ニヒリズムからの超克の哲学としての、実存主義。
但し、この実存主義は、ニヒリズムの超克でなくて、
ニヒリズムの開き直り、と言うべきかも知れない。
(4)ニヒリズムの超克のこころみとして、
ニーチェ的超人思想。
と成るであろう。
○ここで、ようやく、我々は、アメリカネオコン派の本当のゴッド
ファーザーとしての、レオ・シュトラウス。
シュトラウスの前段としてのカール・シュミット、そして、ハイ
デッガー、
更にその前段としてのニーチェ、
と言う風に、欧米思想史を要約することになる成るであろう。
○この件は、更に続報する。
(了)
http://www.pavc.ne.jp/~ryu/wjn/frame.html