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ヤンキースの松井の大リーグ挑戦は、開幕から約1カ月が過ぎた。名門チームの5番打者に定着し、自身の意識も、求められる役割も、昨年までと大きく様変わりした。「大リーガー松井」の1カ月を振り返る。 【ニューヨーク野村隆宏】
◇有能な5番打者
「監督にとって、とても使いやすい選手なんだ。彼を組み込んだ打線を私は気に入っている」。5番で使い続けているトーリ監督は、松井の素晴らしさを熱心に語った。「私が彼に望んだことは、いやな顔をせずにやってくれる。昨年、50本塁打を放った選手なのに、だよ」
この話をする直前のアスレチックス戦(2日)。同点の六回無死一塁の打席で、松井はヒット・エンド・ランのサインで中前打を放ち、勝ち越しの好機を広げた。巨人時代の松井ならありえないプレーだった。
ヤンキースのチーム本塁打は、リーグ2位の53本。1番打者のソリアーノが10本、下位のモンデシーが8本など、クリーンアップ以外にも長距離打者がそろう。しかし、トーリ監督は本塁打2本の松井を5番から外さない。松井も指揮官の意図をくみ「大リーグでは自分は中距離打者」と、「つなぎ役」を受け入れている。
◇慎重な姿勢
開幕から1カ月を過ぎても、松井は「打撃に対する意識に変化はない」と言い切る。大リーグでの「意識」とは、本塁打を狙う気持ちを抑え、的確なミートを優先すること。未知の投手へ対応できるまでは、自分のフォームを崩さないという慎重な姿勢だ。
それが、顕著に表れていたのが4月の前半。15日までの13試合は、16安打のうち、右方向に引っ張ったのは2本塁打を含む5本だけで、左には6本、中堅が5本。打率は3割をキープした。大きな当たりへの意識を捨て、ミートに徹していた。
一方、16〜30日の13試合では、右に6本、中堅に6本で、左方向への安打はゼロ。この間の打率は2割1分1厘で、本塁打もなかった。この時期には松井対策が進み、外角ばかりを突いていた投手が、多彩な攻めを始めた。左に流す打撃をさせてもらえず、チェンジアップなどの変化球、手元で変化する速球への対応も十分ではなかった。
しかし、最近は6試合連続安打で、左方向への好打も復活のきざしがある。「今は安打が1日1本という感じですけど、ここから少しずつよくなっていけばいい」という。
パワー全開はいつ
4月14日以来、本塁打からは遠ざかっているが、トーリ監督の下では、それを気にする必要はない。長打は後回しにして、当面は打率回復を目標にした打席が続きそうだ。
ただ、日本で看板にしていた本塁打へのこだわりを捨てたわけではない。自分の打撃に手応えを得るに従って、長打への意識も変化させるだろう。スタート時点での「有能な5番打者」から、どんな成長を遂げて、持ち前の長打力を発揮させていくのか。今後のプレーが楽しみだ。
[毎日新聞5月7日] ( 2003-05-07-00:59 )