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日本政府が北朝鮮の偵察などを目的に打ち上げた情報収集衛星を撮影することに、フィンランドのアマチュア天文家が2日までに成功した。
政府は「衛星の位置を知られると、見られたくないものは隠される」として、軌道は厳重な秘密扱い。しかし、世界のアマチュアらは毎晩のように同衛星を観測しており「北朝鮮にとっ ても軌道を知るのは簡単」と指摘している。
撮影に成功したのは、フィンランドのペテリ・カンカロさん(26)。夜空を高速で横切る情報収集衛星の光跡を、くっきりとらえた。
カンカロさんやカナダのテッド・モルツァンさん(50)の観測によると、2基の情報収集衛星はほぼ同じコースを飛行。毎日午前11時20分−午後1時20分ごろと、午後10時半−午前0時半ごろの2回、平壌を見下ろせる上空を通過している。この時間帯に北朝鮮が屋外の活動を控えれば、日本に探知されるのを防げる、という。
モルツァンさんらは観測した各国の衛星の軌道を計算、インターネットで公表している。今の季節、情報収集衛星が夜間に光って見えやすいのは、日本では北海道より北の地方。北朝鮮の北端からも見える。
アマチュアらが軌道を公表していることに、衛星を運用する内閣衛星情報センターの担当者は「日本の利益に反する」と渋い顔。公表された軌道が正しいかどうか「コメントしない」という。
だが、モルツァンさんは「宇宙は誰の所有物でもない。軌道は正確」と反論している。情報収集衛星の軌道は、米航空宇宙局(NASA)も3月末の打ち上げから2週間ほど公開していた。
情報収集衛星 1998年の北朝鮮の弾道ミサイルテポドン発射をきっかけに導入が決まった日本初の事実上の偵察衛星。光学衛星と合成開口レーダー衛星各1基の組み合わせ。今年3月28日、H2Aロケットで打ち上げられた。光学衛星は地上の1メートルの物体を見分ける能力がある。レーダー衛星は夜間や雲があっても地上の撮影が可能。地球周回軌道を飛行する物体を監視している米軍は、2基の情報収集衛星をIGS1A、同1Bと名付けている。
ZAKZAK 2003/05/02
http://www.zakzak.co.jp/top/t-2003_05/2t2003050202.html