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新型肺炎の重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)が、アジアを中心に猛威をふるっている。病原体は新型ウイルスと断定されたが、感染ルートは依然、なぞに包まれている。いつ、日本に侵入してもおかしくない状況の中で、冷静に対応するにはどうしたらいいのか、国立感染症研究所の岡部信彦・感染症情報センター長に解説してもらった。
○どんな症状?
急に38度以上の高熱が出て咳(せき)をしたり、呼吸が困難になったりします。頭痛や筋肉痛、発疹、倦怠(けんたい)感、下痢といった症状がみられることもあります。胸をX線で撮影すると、すりガラス状の肺炎の影が写ります。
ただ、このような症状はインフルエンザなど、ほかの感染症でも考えられ、判別がつきにくいので注意が必要です。
流行地域から帰国して症状のある人は医療機関に受診して欲しい。ただ感染の可能性の高い症状のある人を開業医が管理するのは難しいので、感染症対策がとれる医療施設を選んで下さい。
症状が出ても8〜9割の人は特別に治療を受けなくても1週間ほどで快復しています。潜伏期間は3〜10日なので流行地域から帰国して10日たっても症状がなければまず心配は要りません。
○死亡する場合も?
糖尿病、心臓病など別の病気がある人がかかると重症化しやすく致死率が高まるようです。症状が出た人のうち死亡したのは4%前後になります。しかし、感染に気づかないまま治る人もいるとみられ、感染のすそ野が不明なので詳しい致死率は分かっていません。
○感染ルートは?
原因はSARSウイルスだと突き止められましたが、ルートは十分には解明できていません。
今のところ、患者や感染者の咳やくしゃみなどを浴びる「飛沫(ひまつ)感染」が中心とみられます。飛沫感染だと感染源の約1メートル以内に近づかなければ感染しない。
でも、下水管といった特殊な状況で水しぶきなどを通じて広がったり、1メートル以上の距離で空気感染したりする可能性も消えていません。
○予防法は?
どの国も、SARSの侵入を水際でシャットアウトするのは難しい。侵入をいかに早く把握し、重症化や2次感染を防ぐのか、がポイントです。
大切なのは、世界保健機関(WHO)が勧告しているように、緊急の用事がない限り流行地域に行かないこと。普通に生活する上であまり心配する必要はないでしょう。患者が出ても隔離して手洗いや消毒を徹底するなどの標準的な対策で大規模な2次感染を防いでいる国は多い。インフルエンザやはしかより、感染力は弱そうです。
SARSに限りませんが、感染症の予防策は、手洗い、うがいの徹底に尽きます。帰宅すれば流水で十分に手を洗う。外出して、ものを触った手で、自分の鼻や口に触れることは避ける。十分な睡眠、バランスよい食事を心がけ、体力を良好な状態に保つことが基本です。
○マスクは有効?
一般のマスクは、感染者がつばなどを飛び散らせるのを防ぐ効果はありますが、完全な感染予防にはなりません。患者や感染者に接触する医療関係者は外科用マスクなどの着用が必要です。感染者からの「飛沫粒子」が目、鼻、口などの粘膜に付着するのを避けるにはゴーグルも有効です。
仮に家族に感染の疑いがある人が出た場合は、飛沫が飛ばないようマスクをし、外出しないようにして欲しい。つばや尿、便などに触れた心配があるときは、手をきちんと洗って下さい。
○アルコール消毒は?
有効です。家庭や職場、集合住宅などの共用部分はアルコールや漂白剤でよく消毒して欲しい。ふきん、お手ふきなどは使い捨てにしないと意味がありません。
○どのように診断?
たんや血液、便などからウイルスの遺伝子の一部を見つける検査や血液中の抗体検査などが開発されつつありますが、症状から総合的に診断しているのが現状です。検査の精度に限界があり「陽性」と出ればかなり確実だが、「陰性」と出たからといって感染していないとは言い切れません。
○治療法は?
香港などでは抗ウイルス剤リバビリンと免疫抑制剤ステロイドを併用すると一定の効果があるとも報告されていますが、医学的に効果が確認されたわけではありません。副作用もあります。
根本的な治療法はまだなく、対症療法が中心ですが、原因が分かったので治療法や予防法の開発にも着手できると期待されます。ただ、まだ時間がかかるでしょう。
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岡部信彦(おかべ・のぶひこ)氏 東京慈恵会医大卒、世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局伝染性疾患予防対策課長、同医大助教授(小児感染症)などを経て00年4月から現職。 (04/26 01:46)
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