現在地 HOME > 掲示板 > Ψ空耳の丘Ψ25 > 607.html ★阿修羅♪ |
|
UBSホームページ
http://www.ubs.com/
東証外国部:8657.T
http://quote.yahoo.co.jp/q?s=8657.t&d=b
クレディス・スイスに買収負担
「前の好況期に組織を水ぶくれさせなかったからこそ、大規模な人員削減をしないで済むのだ」――。二月十七日、チューリヒ市内で決算会見に臨んだスイス銀行最大手UBSのペーター・ウフリ社長は、自行の堅実ぶりに胸を張った。この言葉がライバルのクレディ・スイス・グループへの皮肉にほかならないことを、出席者の多くは感じとった。
今や“火の車”のライバル、クレディ・スイスはここ十年ほど合併・買収による急拡大を進めた。一九八八年に米ファースト・ボストンの経営権を取得、九七年にはウインタートウル保険と合併。二〇〇〇年には米証券ドナルドソン・ラフキン・アンド・ジェンレット(DLJ)を買収、世界有数の総合金融機関となった。
多角化避ける
UBSもペインウェバーなどを買収したが、あくまでも中核事業の強化が狙い。多角化路線に踏み出すことを慎重に避けてきた。この戦略の差が鮮明に表れたのが、二〇〇二年の決算だったと言える。
UBSの二〇〇二年の純利益は三十五億三千五百万スイスフラン(約三千億円)。前の年に比べ三割近く減ったとはいえ、巨額赤字が相次いだ欧州銀行界では善戦した。しかも買収したペインウェバーののれん代を一括償却するなど一時的な損失も計上しており、特殊要因を除いた実質ベースでは一二%減益にとどまった。
二十五日のクレディ・スイスの決算発表では一週間前のウフリ氏の皮肉が現実となった。クレディ・スイスは最終損益が三十三億スイスフラン(約二千八百億円)という巨額の赤字に転落、合わせて千二百五十人の追加人員削減を発表したのだ。需要の減少で「水ぶくれ」した格好の小口金融部門での合理化が急務になったためだ。
株安で大打撃
総合金融機関として絶頂だったクレディ・スイスの転落のきっかけは世界的な株安。米同時テロ後の保険支払いや世界的な株安による保険事業の大幅赤字が「序章」だった。そこに投資銀行部門のクレディ・スイス・ファースト・ボストン(CSFB)の巨額赤字も加わった。
エンロン事件やアナリストの不正にからんだ訴訟費用、過去の買収資産の見直し、リストラ費用など一括計上した「負の遺産」が十五億スイスフランに達したのだ。CSFBは大幅なコスト削減を打ち出し、収益回復に自信を示すが、今後も大規模な人員削減が避けられない見通しだ。
グループ戦略の方向性も対照的になってきた。UBSは過去に買収した「ウォーバーグ」や「ペインウェバー」など米英の老舗ブランドにUBSを冠して使ってきたが、今年六月からそれを廃止する。単一ブランドとなる「UBS」を求心力に、グループの統合を一段と進める狙いだ。
一方のクレディ・スイスにはむしろ遠心力が働いている。今年一月からグループの最高経営責任者(CEO)は、金融サービス部門の責任者であるオズワルド・グリューベル氏とCSFBの責任者であるジョン・マック氏が共同で務めることになった。二部門のトップが兼務することで、グループCEOは急速に形がい化している。
難しい融合
もともと米国企業としての意識が強いCSFBと、欧州の伝統的な銀行の色彩が残る金融サービス部門の融合は難しいとみられていた。それだけに「二つの会社が同じ傘の下にいるだけ」(米国証券アナリスト)という色彩が一段と強まっている。
二十五日の会見も年次決算だったにもかかわらず、マック氏は米国からのテレビ電話による参加。CEOと両部門の責任者が席を並べた昨年とは大きな違いだった。
もっとも、経営陣もそれを意に介す様子がない。「二部門が独立独歩でうまくいくならそれでいい」というムードが強いのだ。だが果たして、トップが二人という体制でグループ全体の収益バランスを取り戻すことができるのか。
スイスの二大銀行が再び肩を並べて競い合うには、まだ時間がかかりそうだ。(チューリヒ=磯山友幸)
【表】スイスの2大銀行の業績(単位百万スイスフラン、▲は赤字)
UBS クレディ・スイス・グループ
2002年 2001年 2002年 2001年
営業収入 34,121 37,114 28,038 39,154
純金利収入 10,340 7,543 8,036 6,751
純手数料収入 18,221 20,211 15,334 18,115
運用収益 5,572 8,802 2,254 8,913
保険事業収入 − − 3,312 6,300
最終損益 3,535 4,973 ▲3,309 1,587