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04/08 15:48 「一強多元世界」の出現 首相は党との一体性発揮を 政治16
中曽根康弘元首相にイラク戦争、小泉政権の評価などを聞いた。
(聞き手は後藤謙次共同通信政治部長)
―イラク戦争をどう位置付けるか。
「テロに対する先制攻撃が学問的に研究すべき対象として現出し
てきた。もう一つは、米国に同調したのは英国、日本などの海洋国
家、反対しているのはロシア、フランス、ドイツという大陸系国家
、これからの世界政策で、そういう形での性格出現があり得るのか
、研究課題だ」
「米ソの枠組みがなくなり散乱状態となった世界に『一強多元世
界』が出てきた。イラク戦争の収拾で、大陸系の国と米英との調整
がどう行われるか。それが一強多元世界のパターンを示す端緒にな
るかもしれない」
―小泉純一郎首相の米国支持をどう評価する。
「(決断が)論理的な体系構造から出ているように見せないのが
、彼の執政の性格。結論だけはパッと出る。私は『瞬間タッチ反応
断言型』と言っている。だが、(今回の)結論はいい」
―日本の出番はあるか。
「六月にフランスで主要国首脳会議(サミット)がある。そのチ
ャンスを大いに活用して、米欧の分裂の調整、国連機能の回復につ
いて成果をつくるべきだ。一番働けるのは日本。外相と首相の腕前
にかかっている」
―何度か会っているフセイン大統領の印象は。
「侍だと思った。湾岸戦争の直前、日本人人質を解放するため、
二人だけで会った。私が座ったら、ピストルのついたベルトを外し
てポーンと向こうに投げた。侍が刀を向こうにやるように。だが、
イラクは独裁軍事国家で歓迎すべき体制ではない。今回も最終結論
で判断を誤った」
―北朝鮮外交も厳しい局面を迎えているが。
「北朝鮮はどう喝と求愛を一緒にやっている。米国がイラクをど
うするか、始末の状況を見てゆっくりやれ、と言ってきた。米国が
イラクをどうするかで北朝鮮への対応もある程度判定がつく。いず
れにせよ、国際協力で対応すると米国は言っているが、腹の底は極
めて厳しいのが現実だ」
―農相人事が難航したが、小泉首相の政権運営をどう見るか。
「瞬間タッチ反応型の欠陥が出ている。ふだんから党の要人と接
触して、政策的にも人間の活用にしても意思疎通しておく必要があ
る。小泉首相は大統領的首相の面があって、英国型の議院内閣的総
理の面がない。ある程度妥協しつつ、党と内閣の一体性を持った政
治をやるべきだ。冷戦が終わり、自民党を支えた『粘土』が『砂』
になった。小泉首相はその砂に乗った。しかし、さすがの首相も議
院内閣的総理に転換しないと駄目だと妥協し始めている。その一つ
の表れが農相人事だ」
「イラク、北朝鮮、経済と政策的に一番の急所に差しかかってい
る。外交でこういう難所に差しかかった場合は対立を避け、一致協
力するのが政治家の務めだ。やはり、小泉をある程度守ってイラク
と北朝鮮問題に対応する力を持っていないといけない」
―現在の閣僚でこの難局を乗り越えられるか。
「『ショーウインドー内閣』から転換しろと言っている」
―危機の時代の宰相に必要な条件は何か。
「展開を確実に見通せる目測力、いい人材、いい情報、いいカネ
を集められる結合力、内外を説得する説得力。この三つを持つ者が
ふさわしい」
―総裁選の行方は。
「それは経済やイラク、北朝鮮問題の見通しがつく六、七月以降
。総裁選はまだ白紙だ」
―反小泉勢力が勝負に出る局面はあるか。
「失政が大きく出てくれば、当然あり得る。衆院解散・総選挙は
、今のところ総裁選前にありそうにない」
―イラク戦争で日本が考えることは。
「いつまでも米国に依存せず、自主防衛を強めないと駄目だ。次
は集団的自衛権の問題で、行使できるようにしないといけない。政
治的見識と良識のある者なら当然そこに行き着く」
―活力の源は何か。
「私たちは戦争に行き、日本の歴史に汚点を残したとか、占領政
策に屈辱を感じたという延長線が、政治家としての根性をつくって
いる」
× ×
中曽根 康弘氏(なかそね・やすひろ)東大卒。防衛庁長官、通
産相、自民党幹事長などを経て、1982年から約5年間首相。衆
院当選20回。84歳。群馬県出身。
(了) 030408 1548
[2003-04-08-15:48]
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