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米国は欧州を壊す=岸本卓也(欧州総局)
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ラムズフェルド米国防長官はドイツ系移民の子孫だ。「ずけずけと遠慮しない言い方はドイツ北部出身者の性分」と言い、イラク攻撃に反対するドイツを「役立たず」となじる。そのドイツにフランスが同調すると、長官は「仏独のような古臭い欧州に用はない」と言い切った。
長官が米国に従わない仏独にいらついただけと思うのは間違いだ。長官の挑発的な発言は欧州統合の中核的な役割を担う仏独を欧州の中で孤立化させる冷徹な策略の一環だ。つまり、米国は巨大化する欧州連合(EU)の弱体化に着手したと見てよいだろう。
冷戦時代の西欧の統合運動は米国にとってソ連の西欧侵攻を阻止する意味で利用価値があった。ソ連が消えた今では、その価値はない。そのうえ、統合で発言力が増したEUは温室効果ガスの規制や国際刑事裁判所設立問題などで米国と対立する場面が増えた。米国にとってEUは厄介な存在になったのだ。
ラムズフェルド長官は米欧同盟である北大西洋条約機構(NATO)を米国が利用できる組織に立て直そうとしている。長官は「軍事出動は米国とともに行動する国だけでよい」と言い出した。同盟国の中で米国に追従しない仏独のような国は切り捨てる。
イラク危機は中東や欧州を危機に陥れた。しかし、米国にとっては中東や欧州を支配する好機だ。国連も危機にあるのならば、それは超大国である米国の世界支配の好機だ。仏独を批判するときにラムズフェルド長官は不敵な笑みを浮かべる。その不気味な笑みに米国の野望を感じる。
(2003年2月14日毎日新聞朝刊から)
http://www.mainichi.co.jp/news/article/200302/14m/005.html
…時期はずれな投稿申し訳ありません。