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21世紀は環境の世紀と同時に、「水の世紀」ともいわれるほど、水資源保全が世界的なテーマとなっている。衛生陶器のトップメーカー、TOTOは生活環境企業を目指すと同時に、水回り製品が主力だけに、環境経営の柱のひとつに「節水」を掲げている。岩辺武彦・取締役専務執行役員は「節水を武器にグローバル戦略を展開する」と語った。
■「クリーンタウン計画」で地球環境に貢献
−生活環境企業を目指すとのことですが、生活環境企業の意味は。
「当社はトイレや洗面所、浴室、台所などの水回りの製品を扱い、過去30年間に累計約1億5000万個を出荷しています。これら製品の品質、コストなどで常にナンバーワンでありたい。同時に、それだけのお客さんに使っていただいているからには、それら製品の生産面での環境負荷だけでなく、使っていただく段階での水や電気などの環境負荷をいかに少なくするかということが考えの基本です。生活環境企業を実現するために、3つの計画を掲げています。ひとつは、『クリーンタウン計画』です。これは、省エネ、節水技術でCO2排出を抑制し、水資源を有効利用し、洗剤を削減したり、水の浄化で河川や海洋汚染を防いだり、環境対応技術で環境を浄化したり、製品の長寿命化や廃材の利用でごみ減量化を図るなどの取り組みを指しています。つまり、当社の商品が家空間、街空間、ひいては地球に至るまでいかに貢献できるかということで、当社流の地球環境対策です。2つ目は『きずな計画』で、これはパッキン1枚からお客さんとコンタクトしてサービスを向上させ、お客さんの満足度をより向上させること。もうひとつは、『楽&楽計画』と呼び、高齢化社会を迎えるなかで、ユニバーサルデザインの実現も目指していくということです。この3の計画が生活環境企業のベースになると考えています」
−環境問題に直接関連するクリーンタウン計画の特徴は。
「従来のメーカーにとっての環境活動は、生産面に力を入れていればよかったのですが、現在では素材、材料から始まって、世に出した商品の使用段階まで、つまり商品のライフサイクル全般にわたって本当に地球環境に役立つものでなければならないという考えを取り入れている点です。これを突き詰めて環境経営にもっていこうという意図です」
■エコ商品化率を90%に
−そのひとつの表れがエコ商品【1】ですね。
「そうです。98年から当社独自の基準でエコ製品の選定を始めましたが、2001年度で新商品に占めるエコ商品の比率が88%にまで高まってきました。これを2003年度には90%にまでもっていく予定です。すでに新商品を開発する際には、エコ商品が当たり前になっています」
−100%にはならないのですか。
「例えば、紙巻器や手すりなど、素材をそのまま使う商品があります。たとえこれらのデザインを変えてもエコにはなりませんから、90%をクリアできればいいと考えています」
−全社の売り上げに占めるエコ商品の比率はどのくらいですか。
「2001年度の全社売り上げは約4000億円ですが、そのうちの半分程度までいっています」
−エコ商品の定義はどうなっていますか。
「例えば、節水、節電などライフサイクルでのCO2排出量などの項目について社内で基準を決め、その項目について旧商品よりも必ず15%以上改善したものと定義しています。エコ商品には当社独自のマークを付けています。もちろん、この社内基準は規制や社会の要求に合わせて、少しずつ見直しています。こうした社内評価だけでなく、国のグリーン購入法適合商品に認定されたものもあり、あるいは日本環境管理協会のエコマークを取得したものもあります」
■水の使用量を43%削減
−環境配慮のおかげて製品が売れる傾向にありますか。
「お客さんもだんだんそういう選択をするようになっていると思います。いい例が、アクアオートエコ【2】という水栓金具です。これはセンサーで感知して、手を出せば水が出る水栓ですが、羽根車を内蔵し、水流によってそれを回転させて自己発電しますから、電気が不要です。水道水は、水栓の蛇口の閉め忘れや、長く出しすぎるということで無駄な水を流している場合が多い。必要なときだけ水を流す自動水栓を使うと、水の使用量が43%も節減できるという調査結果もあります。すでに公共施設などで多く採用されていますが、だんだん家庭にも普及してきています」
−そのほかの環境対応技術はどのようなものがありますか。
「環境に役立つ技術のひとつとして、セフィオンテクトがあります。表面がつるつるしており、洗剤もいらない。流れやすく、掃除もしやすい。光触媒技術を応用したハイドロテクト【3】は基本特許も抑えています。すでに自動車のバックミラーや道路のミラーにも採用されており、海外のガラスメーカーやタイルメーカーなどからも引き合いがきています。テントや外壁などにも利用されていますが、もっと応用分野を増やして普及させていきます」
■米国の規制もクリア
−生産面でのCO2排出量は、2001年度に90年比で35%減と大幅に減らしましたね。
「4工場でコージェネレーション(熱電併給)を導入するなど省エネ活動が寄与しました。また、製陶方法では砂型を使った鋳物の製造法から、型を金型だけにして砂の処理用のベルトコンベアをなくし、設備を簡素化して節電に成功したほか、廃棄物も大幅に減らしました。LPG(液化石油ガス)から都市ガスに燃料転換したことも効果がありました。このほか、正直に言えば、海外生産が増えたということもあります。衛生陶器についても、中国やインドネシア、タイ、フィリピンなどで生産していますから」
−海外生産比率はどの程度ですか。
「現在は20%程度ですが、数年後には30%、長期的には50%程度までいくと思います。ですから、国内のCO2排出量は増えることはもうないと思います。それでも、国内ではより一層の省エネ努力は進めていきます」
−環境対策も国内だけでなく、海外工場などグループ全体の問題になってきています。
「もちろん、海外についても当該国の規制を必ずクリアしています。話はちょっとそれますが、当社はいま、節水のグローバル戦略を展開しています。特に、アメリカと中国、アジアでは節水について関心が非常に高い。アメリカは92年に制定したエナジーアクト法によって、節水に関連する法律ができています。その内容は、新規のトイレをつくる場合は、1回に流す水の量が6リットル以下という規制があります。全米建築協会の調査によると、当社の製品を含めて49商品についてテストをした結果、トップ3にTOTOの商品が入り、6リットルという規制をクリアしています」
−日本の場合は水の量はどれくらいですか。
「日本は規制がないのですが、標準で8リットルです。中国でも2003年9リットル規制が始まります。日本もゆくゆくは規制ができていくでしょうね。したがって、こうした評価を背景に、節水をキーワードにして国内外で製品を拡販するというグローバル戦略を展開していきます」
【1】エコ商品
環境配慮商品の開発促進とユーザーへの環境配慮に関する情報公開を目的として98年に開始した。商品企画、設計の段階からLCA(ライフサイクル・アセスメント)を用いてCO2排出量を把握するなど、独自の製品環境アセスメント基準で評価する。同基準は環境関連の法規制などによって3R対応を追加するなど、現在の評価項目はCO2排出量、省エネ、節水、環境汚染防止など10項目となっている。
【2】アクアオートエコ
発電ユニットを備えた自動水栓。ユニット内に羽根車が設置してあり、水が流れるたびに羽根車が回転して発電する仕組み。1回の使用量が5秒間の場合、瞬間流量が毎分4リットルであれば、1日11回の使用で1日分のエネルギーを得られ、電気を使わない。使用回数が少ない場合は、バックアップ用の電池が作動する。交流電源や乾電池タイプでは必要だった電源工事や電池交換も不要となる。
【3】セフィオンテクト、ハイドロテクト
セフィオンテクトは、表面に1000分の1mm単位でもほとんど凸凹がなく、イオンを放出するため、汚れが近づいてもイオンが跳ね返し、凸凹がないので汚れも付着しにくい。ハイドロテクトは、光触媒作用を応用した技術。酸化チタンに光が当たると、光触媒作用によって有機物の汚れ成分や有機ガスを分解するほか、空気中の水と反応して汚れを浮かせて洗い流すセルフクリーニング機能を持つ。